自衛のためとは言え市民に武器を配る是非
さらに、 ゼレンスキー大統領の行動に共感できない点 があります。それは 市民に自動小銃などの武器を配って戦えと煽っている ところです。
例えは悪いかもしれませんが、まるで、 第二次大戦時に竹槍で戦えと市民に強要していた日本軍のよう ですし、その 武器の殺傷力が竹槍と比較にならない ものであるところが問題です。 米国が銃依存社会になった がゆえに、 どれだけ悲劇が繰り返されたことか。 今さら 銃を持たない国になることなどほとんど不可能 であることを考えてみてください。この 武器拡散が、将来の新たな紛争や国内の内戦の火種となり、犯罪の温床になる ことは想像に難くありません。
本来なら、様々な寄付にも応じる私ですが、 ウクライナを支援する気になれないのは、その寄付が武器になるのではと勘ぐってしまうからです。市民であれ、ロシア兵であれ、人殺しには使われてほしくない のです。
紛争で得をするのは誰か
続いて、 ウクライナ紛争でどこの誰が得をするか 考えてみましょう。
まずは、 圧倒的に儲かるのは米国 です。 原油価格が高騰したため、石油業界はもちろん、一時期経営危機の話も訊かれたシェールサンドの業者まで息を吹き返した ことでしょう。石油業界のロビイストたちは、さぞバイデン政権に効果的な働きかけをしたことでしょう。 エネルギーが乏しい上にロシアのパイプラインに依存しているEUの国々とは、持っているカードも違えば、儲け方も違います。
もっと直接的に儲かるのは 軍事産業 です。なにせ ゼレンスキー大統領から武器を送ってくれとラブコールされた のです。 正義の御旗の下、米国兵を送ることなく、最新のドローンや対戦車砲を売り込め、実戦で試せる のですから、 産軍複合体も大喜び でしょう。タカ派に見える共和党の トランプ元大統領が軍縮して中東からの撤兵 をした後で、なぜかハト派に見えた民主党の バイデン大統領が中東に変わる新たな火種に武器を送り込む のですから皮肉なものです。
軍事がらみで言えば、 ドイツやフランスも国防費を増やそう としていますから、 ウクライナ紛争は、軍事増強をしたかった政治家・軍部・軍事産業にとって、絶好の機会だった のかもしれません。
また、当然の帰結として、 ロシアと中国の関係が強化 され、 EUに向かうはずのエネルギー資源が中国に向かう ことになりました。 金融決済もヨーロッパの金融システムから中国のシステムに置き換わる ことになり、 軍事連携も強まる でしょうから、ますます 東西冷戦 の構造が鮮明になってしまいました。