紛争によるインフレで泣きを見るのは市民
さて石油産業や軍事産業が潤う中、その とばっちりを食うのは、各国の市民 です。 ガソリンの値段は上がるは、食糧から日用品まで値上げラッシュになるはで、生活が直撃 されます。ただでさえ コロナ禍で厳しい状況 に置かれている人が多いのに、まさに 「泣きっ面に蜂」 といった状況です。
今年1月7日の日経産業新聞に「2022年の展望」 コラムを書かせていただきましたが、 悪い予感が当たり、予期せぬウクライナ紛争により、さらにひどい展開になって しまいました。
「(前略)世界の分断が進む余波で、半導体から原油・天然ガス・木材に至るまで、円安も重なってコストプッシュインフレに見舞われている。
これまでは国際分業体制を構築し、安い国で作り、売れる国で売る経営戦略が主流だった。国内生産が空洞化しても、相互依存が高まることで自国の安全が保障されると考えられた。
しかし、ともすれば一触即発の世界情勢を目の当たりにして、国内を振り返れば、エネルギーやワクチンのみならず衣食住の国内自給率が低い現況に気づく。
食糧はカロリーベースで4割弱、木材の自給率は3割強、衣料品に至っては自給率2%台と絶望的だ。
有事に備えた軍備拡大やエネルギー、ワクチン自給の議論が喧しいが、安全保障を考えるなら、衣食住の自給率を高め必要最低限は確保する政策も重要だ。(後略)日経産業新聞1月7日付寄稿コラム草稿より」
コロナ禍の混乱 で、 悪いコストプッシュインフレが進んでいたのに、ウクライナ紛争が、さらにインフレを加速する でしょう。
ですから、 ウクライナ支援を考える前に、日本国内の衣食住とエネルギー自給について考える必要 があります。例えば、 フランスのマカロン大統領が次の選挙公約を発表 しましたが 「ウクライナ情勢を受けてエネルギーや穀物などの供給不安が広がる中、再生可能エネルギーの拡大や原子力発電所の新設を推し進めるとともに農業分野でも投資を強め、エネルギーと食料生産の両面でできるかぎり自立を進める」 とあります。
ちなみに、 ロシアではダーチャと呼ばれる家庭菜園が食糧自給のセーフティネット になっており、こうした弾力的な仕組みを、 日本にも有事に備えて導入できれば良い と考えています。