「最悪の気分」母国を愛するロシア人たちを板挟みにさせたウクライナ侵攻

 

私の友人のロシア人もポテト料理が得意。根菜が大活躍するのは北国ならではの食文化ですね。そしてこの芋文化(?)はロシアを代表するお酒、ウォッカにも活かされます。

ウォッカは麦やトウモロコシを原料としたものが主流ですが、ロシアの中でも寒冷地では芋を原料としたウォッカが作られます。

このウォッカに関しても、ほんわかした思い出が。ある時、モスクワ空港での乗り継ぎ時間が長すぎるため、空港ホテルにて一夜を明かすことになりました。

ところが、観光ビザを持っていない私のグループはホテルステイこそ許可されたものの、ホテルの部屋とそのフロアから一切出てはならず、パスポートもフロントで全て回収されてチェックアウトまで預けることになりました。

誰も勝手に動き回らないように、空港からホテルのフロアまでずっと物々しいガード付き。添乗員である私は、お客様の部屋に不備が無いことを全て確認して自室に戻り、レポートを書きます。その後もなんとなく眠れずに、フロアに出てみました。

誰もいなくなった廊下を歩いた先に守衛さんの部屋があり、そこにはいかにも“屈強なロシアン”といった風態の守衛が1人。挨拶をすると「なんだ?」と厳しい顔を上げて私を見たのですが、その後ろにはウォッカの瓶が。

「眠れなくて。あなたウォッカ飲んでるの?少しもらっていい?」と聞くと、その守衛の顔が一気に緩まり「お、飲むか?!」とグラスを渡してきました。

初めて本国で飲むロシアンウォッカ。「これとっても美味しいー!ありがとう!」と言う私に彼は本当に嬉しそうに「そうだろうそうだろう」と優しい笑顔を見せてくれました。やっぱり食を共有するって大事!たとえ一杯のお茶やお酒でもね。

ほんの束の間他愛のない会話をしてまた部屋に戻りましたが、怖そうだった守衛が“優しいおっちゃん”の顔で手を振って見送ってくれた、印象深い思い出です。

ついでに、翌朝の朝食(これもガード付き・笑)のデニッシュ類が驚くほど美味しかった事も。ホント、私って食いしん坊。

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