世界は若い。“高齢化大国”日本に求められる転換期、着地点が見えない「新しい資本主義」の問題点とは

 

しかしながら、新しい資本主義実現会議のアジェンダ・セッティングで明らかに足りていないところもあります。それは、グローバルな視野です。国内の生活だけでも切羽詰まっているのに、Whyなぜグローバル視野なんて必要なんだという声もあるでしょう。

でも、答えは極めてシンプルだと思います。これからの令和時代の人口動態で明らかなことは、日本は世界と共にMade With Japanという精神で栄えるグランドデザインを実現させることが不可欠だからです。

世界は実は若いです。そして、その多くの若者達が暮らしているのは新興国・途上国です。特に現在の世界情勢において数多くの環境的・社会的課題という外部不経済が存在しており、それが豊かな新しい時代に相応しい成長を抑制しています。

日本が、国内はもちろんのこと、これら世界的課題の解決策(まさに、日本が得意としているWhatとHow)を提供すること、つまり「成長と分配のグローバルな好循環」が、これからの令和時代の日本国内の成長と分配にもつながる共栄こそがMade With Japanです。新しい時代における新しい資本主義が答えるべきWhyだと思います。

□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □

『論語と算盤』経営塾オンライン 

「論語と算盤」争いの可否

国家が健全なる発達を遂げて参ろうとするには、
商工業においても、学術技芸においても、外交においても、
常に外国と争って必ずこれに勝って見せるという
意気込みが無ければならぬものである。

道徳と経済の合致を唱えていた渋沢栄一ですが、実は競争を否定したことなく、むしろ、肯定していました。当時の時代における「新しい資本主義」で栄一は、道理ある競争によって信用力を高め、それによって国力を高めることを重視していました。現在において環境・社会的課題を外部性として軽視することは、道理ある競争とは言えないと栄一も賛同したことでありましょう。

「渋沢栄一 訓言集」学問と教育

新しき時代には
新しき人物を養成して
新しき事物を処理せぬばならない。

これからの概ね30年間で「新しい資本主義」を実現させる主役Whoは誰か。それは新しい時代における、新しい価値観で、新しい成功をつくるミレニアル・Z世代であることに間違いないです。この世代の人的資本の向上、人への投資は「新しい資本主義」に不可欠です。ただ、その若手世代のスイッチが入るような環境を我々は社会、職場、家庭で整えているのか。これは、日本の全世代が抱えている宿題です。

謹白

image by: Perati Komson / shutterstock

渋澤 健(しぶさわ・けん)

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