自衛隊OBも嘆く。ウクライナ戦争で増した“防衛後進国”ニッポンの不安

 

一方、これが「人による災害」つまり「テロ」「大規模犯罪」「戦争」というようなことになった場合、それに対応されているでしょうか。

地震ということになれば、例えば耐震構造ということは、揺れを建物が吸収し建物の倒壊を防ぐということになります。

しかし、その建物が壊れないということで、ミサイルの攻撃には耐えられるのでしょうか。

テロなどの犯罪になれば、その壊れにくい・倒壊しにくい建物がテロリストのアジトになってしまい、攻めにくくなるというようなことが出てきてしまいます。

津波や洪水であれば、地下は水が溜まってしまいますので、なるべく高いところに逃げるのが鉄則です。

そのために、高い頑丈な建物を避難所としたりしていますし、またその時の備えもあると思います。

しかし、これが戦争となれば、高いところは「標的」になってしまいます。

現在のウクライナの情勢を見てもわかるように、砲弾やミサイルの爆風や破片を避けるために、多くの人は地下の防空壕に、それでもいけない人は地下鉄の駅などに避難しているのです。

韓国などは、これらの内容に関してソウル市内にソウルの人口の3倍の地下シェルターを作っていますし、その中には、食料や水、一部の武器、ガスマスク、子供用も含めた防弾チョッキなどが備えられています。

日本の場合は自然災害に関する内容ばかりがリスクマネジメントとして存在していますので、そのような地下シェルターなどはありませんし、また、沿岸の町、つまり船で敵が上陸してくるということを想定して、そのための備えもないのです。

このように日本の場合は、「日本を守る」ということをいっても、その日本を守る内容が「自然災害」に偏ってしまい、戦争やテロなどの「人為的な災害」に対する対処は全くできていないということになるのです。

しかし、日本を守るのであれば、これ等の人為的な災害に対してもしっかりと守らなければならないのではないでしょうか。

さて、「日本を守る」ということを書いたときに、まずは、「日本とは何か」ということを書かなければなりません。

国家ということを言うときに、よくその要素を「主権」「領土」「国民」というように言われていますが、実際に、日本はどれが守られているのでしょうか。

以前、まだ国会新聞の編集次長の時代に、その時の防衛大臣にインタビューをしたことがあります。

まあ、あまり名誉なことではないので、名前は伏せておきますが、自民党総裁選に何度か出馬されている先生です。

その先生との会話です。

 「自衛隊は何を守っているのですか」

 

(元)大臣 「日本を守っています」

 

 「日本の何を守っていますか」

 

大臣 「領土でしょう」

 

 「それならば、竹島や北方領土には何故自衛隊は守りに行かないのですか」

 

大臣 「領土だけではなく、国民を守る仕事があるからでしょう」

 

 「ではイラクなどに日本人がテロリストに誘拐されたとき、なぜ国民を守りに行かないのですか」

 

大臣 「いや、わざわざイラクまでは…」

 

 「わざわざって、サマワに行っていたじゃないですか」

 

大臣 「それは政治的な問題があって」

 

 「主権ということが出ると思うので先に言いますが、日本から拉致された主権を無視した犯罪行為の北朝鮮の拉致被害者を救いに、なぜ自衛隊は北朝鮮に行かないのですか」

 

大臣 「そんなことをしたら戦争になるでしょう」

 

 「戦争になるということが問題ならば、他国が戦争を仕掛けてきたときに自衛隊は日本を守れないのですか」

 

大臣 「そんなことはない」

 

 「では、自衛隊は結局何を守っているのですか」

 

大臣 「高度に政治的な問題があるが、それでも日本を守っている」

 

 「その政治的な問題を解決するために、大臣がいるのではないですか」

 

大臣 「あのねえ」

 

 「要するに、なんとなく日本っぽいものを守っていながら、結局何を守手散るのかよくわからないということですか」

 

大臣 「それらは自衛隊法に規定がないから…」

まあ、この後もずっと話が始まるのですが、日本を守るかなめであるはずの自衛隊の、まあ、10年ほど前の話ですが、その担当大臣ですら、このようなものなのです。

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