平和ボケよりタチ悪い。自分は大丈夫という思い込みが日本を滅ぼす

 

これは、日本人の多くが「国家」という概念が少なく、昔の農村地帯における「農村文化」という「自分の生活圏を中心にした物事の考え方」しかしていないということになるからにほかなりません。

自分の生活圏に問題がなければ、基本的には戦争などは「対岸の火事」でしかなく、自分自身の生活を変えることはないということになるのです。

あえて農村地帯ということを入れたのは、まさに、日本人の多くがいまだに農耕民族性を持っているということになります。

以前、大学で講義をしたときに「現在、日本の農村人口、農業従事者が日本の労働人口の20%を割っている状態でありながら、なぜ農耕民族性が残っているのか」という質問を受けたことがあります。

これは素晴らしい質問であり、実際に、「民族性」と「実際の従事している仕事」ということとは全く異なるということを意味していることになるのです。

日本人は、そのほとんどが会社従業員、つまりサラリーマンとして働いています。

もちろん公務員などもありますが、ここでは「農耕従事者や漁業従事者というものではなく、定時出社などによる勤務体系になっている」という意味で考えてください。

しかし、日本人はそのような勤務であっても、実際に農耕民族性を失うことは少ないのです。

これは一つには「食文化」や「生活習慣」の中において農耕民族性を持っていた時の日常の生活習慣を持っているということになります。

例えば一日三食食べる、祭りに行く、お盆や正月を休む、というようなことや、時期的に今のことを言えば花見に行くとか、紅葉を楽しむなどの士気を楽しむというような感覚も含めて、日本人は「自然と共に」生きているのです。

そしてその自然の考え方が、今でも「農耕」特に「稲作農耕」による季節の見方をそのまま使っているということを担うのではないでしょうか。

そのような「季節の感じ方」や「生活習慣」、ある意味で日本人の根底に流れているものが、農耕民族的であるということになります。

そしてその農耕民族は「地縁的村社会」つまりその土地、特に「水」と「土地」によって結びついていることになります。

逆な言い方をすれば、農耕民族の場合隣の村が戦争に巻き込まれて壊滅的な被害を受けたとしても、自分の村が被害がなく、なおかつその水源に被害がなければ、基本的には自分たちの生活には何の影響もないということになるのです。

もちろん、助けに行かないとか、支援物資も送らないというようなものではありません。

しかし、「他人を助ける」ということは、「自分の生活の余裕を少なくする」ということであって、自分の生活そのものを苦しくするということではないのです。

もっと言えば「我慢で済む範囲」を我慢するということに他ならないのです。

自分が生活ができなくなるくらいまで追いつめて、他人を助けるということは、基本的にはあり得ないのではないでしょうか。

このような意味から、日本人は現在でも、地縁的なつながりを重視する農耕民族性をつよく国民性の中に持ってしまっており、そのことから、危機的な状況であっても自分の所には何もない場合には、国家というような感覚にはならないのです。

そのうえで、自分にまたは自分の身近に被害がなければよいということを第一義に考えるということになります。

台風の日に自分の漁船を見に行くとか、田畑を見に行って被害に遭ってしまうという例を上げましたが、実際には、それらは台風後の自分の生活に影響が出ないかということが自分の最重要事項になっていて、自分の被害そのものを考えていないということになります。

ではなぜ日本人は自分の被害ということを考えないのでしょうか。(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2022年4月18日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

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