貧しくなった日本復活には“健全な”金権政治と「族議員」が必要な訳

 

3.族議員はスペシャリスト

昔は、族議員と呼ばれる議員が多く存在しました。族議員とは、特定の政策分野に精通して関連する省庁の政策決定に強い影響力を及ぼし、関連業界の利益を擁護してそれらの代弁者の役割も果たす国会議員およびその集団の俗称だそうです。つまり、特定の業界を代表するロビイストが議員になったという存在です。

日本でもロビイング活動が行われますが、多くは陳情と呼ばれます。陳情はその業界団体等の代表者が行うもので、陳情のプロは存在しません。するのかもしれませんが、一般的でないのは確かです。

族議員も「政治と金」を代表する存在とされました。特定の業界と癒着して、便宜を図る存在だからです。しかし、日本の国益につながる産業が存在することは当然ですし、特定の産業の振興を優先する政治家がいるのも当然です。

地方選出の議員は地元への利益誘導を要求されます。そして、特定の産業の利益を代表する議員もいるのです。族議員のメリットもあります。それは、特定の産業や業界に詳しいスペシャリストであるということです。族議員も金権政治と同様、その存在が悪なのではなく、活動のルールが必要だということです。

更に言うなら、新しい産業が生まれるなら、新しい族議員の育成が必要であるということです。族議員のデメリットは、国益に貢献しない業界、既得権のある業界だけが優遇され、新しい産業、ベンチャー企業の成長を阻害する可能性があることです。

これを改善するには、国益にかなう産業、企業等を支援する政治家が評価されるような仕組みが必要です。あるいは、政治家自身が明確な産業ビジョンを表明して、それを有権者に問うことを義務づけることです。そして、特定の産業、企業からの献金を可能にしてそれを公開することです。

政治献金が悪いのではなく、政治献金の仕組みがオープンでないことが問題なのです。政治資金の使い途を全て公開し、政治献金についても誰がどれだけの金額を寄付したのか、その献金については、どんなことを期待するのかを公開しても良いかもしれません。少なくとも個人的な利益、私利私欲を追求するような議員を見つけ出し、落選させる仕組みは必要でしょう。

スペシャリストの族議員が消え、同族議員が増えました。あるいは、国内産業を支援する族議員が消え、海外企業を支援する外国族議員が増えてしまいました。政治を良くするには、金を否定するのではなく、健全な活動ができるようなルールを明確に設定しなければなりません。

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