ロシア国民を待つ生き地獄。プーチンの「長期的敗北」が不可避なワケ

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依然として激しい戦いが続くウクライナ紛争ですが、たとえプーチン大統領がこの戦争で勝利を収めたとしても、「戦略的敗北」を喫することは間違いないようです。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、「戦略的敗北」という言葉が指す意味を具体例を上げ解説。その上で、ナポレオンやヒトラーと同じタイプの指導者であるプーチン大統領が、戦略的敗北から逃れることができない理由を明らかにしています。

プーチンは【戦術的勝利】でも【戦略的敗北】は【不可避】とはどういう意味ですか?

私は、ロシア軍がウクライナに侵攻する前から、同じことを書きつづけています。

「ロシア軍は、ウクライナでの戦闘に勝つかもしれないし、負けるかもしれない。たとえ戦闘に勝っても、地獄の制裁はつづいていくので、ロシア経済はボロボロになっていく。プーチンの【戦略的敗北】は【不可避】だ」

たとえば、ウクライナ侵攻の8日前(2月16日)に出た現代ビジネスの見出しは、

全ロシア将校協会が「プーチン辞任」を要求…!キエフ制圧でも【 戦略的敗北は避けられない 】

です。これについて「戦略的敗北とはどういう意味ですか?」とよく質問されます。

たとえば2014年3月、ロシアは、ウクライナからクリミアをサクッと奪いました。ほぼ無血です。これは、プーチンにとって、あざやかな【戦術的勝利】でした。

ところがその結果、欧米日から、経済制裁を科された。その結果、ロシア経済は、まったく成長しなくなったのです。

プーチンの1期目2期目、つまり2000年から08年まで、ロシアは、年平均7%の成長をつづける急成長国家でした。当時プーチンは、「ルーブルを世界通貨にする!」と増長していたのです。

ところがクリミアを併合した2014年から2020年まで、ロシアのGDP成長率は、たったの0.38%になった。これが【 戦略的敗北 】の意味です。

こういっても、あまり理解されないので、もう少し詳しくお話しましょう。

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