プーチンが真似てクリミア併合に成功。中国考案の「超限戦」とは?

 

中国共産党は、1999年に「超限戦」という概念を作り出し、「平時の戦争」ということを行ってきました。

このことをもとに、2014年ロシアはゲラシモフ・ドクトリンを作り、クリミア半島の併合を行っています。

ある意味で、中国の概念をロシアが実験的に使い、その課題を実現したということになっています。

さて、ここで言う「超限戦」は、日本では、ロシアのゲラシモフ・ドクトリンの言葉を使って「ハイブリッド戦争」というような呼称を使っています。

ハイブリッド戦争とは、正規戦、非正規戦、サイバー戦、情報戦などを組み合わせて行う戦争の事であり、ロシアでは、「軍事的な戦い1:4サイバー戦などの平時での工作」といわれるほど、ハイブリッドの軍事以外の部分が大きくクローズアップされています。

当然、2014年のクリミア半島侵攻の成功から考えて、中国共産党は当然のようにこの内容を推進してきたということになります。

ある意味で今回のウクライナ侵攻に関しても同様であり、ロシアも「二匹目のどじょう」を狙ったということが言えますが、中国なども当然似たような効果を狙ったということになろうかと思います。

その場合に、中国は、2014年から2022年までの期間、それなりの準備をしてきていたということになるのではないでしょうか。

ちなみに、中国共産党は何故、2022年まで台湾進攻をしなかったのでしょうか。

この答えはある意味で簡単で、今年2月に北京冬季オリンピックがあったからという理由になります。

共産主義の場合、国家を挙げてのイベントというのは成功させなければなりません。

そのような国家を挙げてのイベントが、戦争などの内容によって多くの国によってボイコットされてしまっては「成功」とは言えなくなってしまうのです。

基本的に「成功」させるためには、多くの国の反対がないということが必要であり、その上、その中で中国という国家が多くの金メダルを獲得するということが必要条件になるということになります。

そのために「オリンピックが終わるまでは隠忍自重していた」ということになります。

逆に言えば、「ハイブリッド戦争」を目指している中国共産党から考えれば、当然に、それまでの期間は準備をするということになります。

そこで、中国共産党は、三つのルートで目的達成をするということを考えていました。

まず第一段階は「平和的に台湾が中国に併合される」ということです。

これは台湾の馬英九総統の時代にかなり良いところまで行ったと思われています。

国民党公認の馬英九が総統となった事で中台関係の雪解けが期待され、台湾国内でも毛沢東のペーパーウェイトが発売されるようになったのです。

総統選挙では「三不」(台中統一・台湾独立・武力行使のいずれも行わない)をスローガンに掲げてましたが、しかし、総統に就任した後には「統一という選択肢を排除するものではない」と発言した事もあるほど、中国寄りの政策を推進していたとされています。

総統就任後の2008年12月15日には、中国との間で「三通」を実現させました。

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