プーチン後継者はナワリヌイ氏?ロシア政府内で議論が進む「戦後」

 

一方、南部ヘルソンへのウ軍反撃は、ウ軍の報道管制で情報が出てこないが、ヘルソンに向けて進軍しているようだ。

ザポリージャ方面では、ウ軍は偵察隊を出して、ロ軍の手薄な所を狙って、攻撃をしている。ロ軍の主流部隊はセベロドネツク周辺に持っていかれているので、手薄である。それはウ軍も同様で、手薄であるようだ。

またハルキウ方面では、ボルチャンスクへのM777榴弾砲で攻撃できる範囲をロ軍は再度占領した。そこで攻撃を止めている。ボルチャンスクはロシアからイジュームなどの方面への補給路である鉄道の要所であり、そこの確保をロ軍は重要視している。

そして、リシチャンスクの防衛に重要なのが、英からのMARSと、米からのHIMARSである。どちらも80キロ射程のロケット弾が使えることで、ロ軍203m自走カノン砲や電子戦兵器クラハ8を叩く手段ができることになる。この2つがウ軍の防衛を厳しくしていたので、重要である。

ロ軍は、シベリアからT-62戦車BTGを南部に送り増強し、南部のTー72戦車BTGを東部に送り、兵員は予備役の大量徴集で、国民総動員法の発動をしないようである。

ロ軍は大規模な消耗を大量動員でカバーして、攻撃を続行するようであるが、その資源もあと数か月で尽きることになると英国情報機関は見ている。

これに対して、ウ軍はロ軍の全縦深攻撃で人員の犠牲を出さない戦術に変更して、電子戦兵器を叩きTB-2やSU-25攻撃機などの航空勢力や砲管理システム「GISArta」などを利用して、ピンポイントでの攻撃をして、自軍の損害なしに、敵をたたく戦法にしないといけない。

ロ軍は、電子戦兵器を除くとベトナム戦争当時の米軍であり、60年以上前の誘導弾がない状態の軍隊で、絨毯爆撃や都市の無差別攻撃など、当時問題になった方法でしか攻撃ができない。このため、火力、兵力を大量投入して、力で押す方法になる。それでは損耗も大きくなる。

ウクライナ戦争とは、近代兵器対60年代兵器の戦いでもある。

その上、ロ軍では、航空機の墜落事故が多発している。墜落したのはロストフ州とベルゴルド州で訓練中のSU-25で、立て続けに墜落したが、とうとう、部品不足や航空機メンテができずに、機材トラブルになってきた。ロ軍VKSの動きが鈍いのは、航空機メンテができなくなっているからのようだ。

次に、ロシアのリャザンでIL-76大型輸送機の墜落で、エンジン故障という。工作機械精度が欧米企業のメンテがないため出ずに、このような事故になっている可能性もある。

また、ロシアの自動車最大手「アフトバズ」が主力車「ラーダ」の最新モデルを発表したが、エアバッグやABSなどの装備はないし、エンジンの排ガスも、最新の規制には適合しないという。欧米日からの部品供給がないことでこうなる。

ロシアでは、欧米の制裁で貧困層が14.3%も増加し、2,090万人もの食糧が買えない国民が出ているという。ロシアの庶民の生活では変化がないが、欧米的な豊かな生活をする人たちには、大きな影響が出ているようだ。このため、豊かな生活をする技術者やオリガルヒなどの富裕層は、ロシアから出ていくことになる。

この状況で、リトアニアは、カリーニングラードへの鉄道貨車便の通過を禁止したが、これに対して、ロシアのニコライ・パトルシェフ安保会議議長が、リトアニアに対抗処置を取ると警告した。

しかし、ロ軍は、ウクライナ侵攻で手一杯であり、かつ、リトアニアはNATO加盟国でもあり、ロ軍がリトアニアに手を出すと、NATO対ロシアの戦いに発展する。これは第3次世界大戦になるので、できない。

カリーニングラードには、ロシア・バルチック艦隊基地があり、大きな制約を受けることになる。バルト海の勢力図が大きく変わることになる。

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