プーチン後継者はナワリヌイ氏?ロシア政府内で議論が進む「戦後」

 

この事態をベラルーシのルカシェンコ大統領は「リトアニアによるカリーニングラード州の封鎖は事実上の宣戦布告である」として、リトアニアに対する防備に集中しないといけないのでウクライナには出兵できないとプーチンに言っているようだ。ロシアの同盟国ベラルーシも大変だ。ウクライナ国境には大量の木製の戦車を置いて、いつでも攻撃が出ることを見せつけている。

反対に、ウクライナとしても心配な事態が起きている。フランスのマクロン大統領など西欧諸国は、ウクライナがロシアとの交渉につくため、ウクライナをEU加盟候補国にした。まだ、マクロンの「プーチン氏に屈辱を与えてはならない」という言葉が生きている。

フランスの選挙でマクロンの与党は過半数を取れずに、野党の主張に配慮する必要が出ている。イタリアでは、与党ポピュリスト政党「五つ星運動」が親ロ派と反ロ派で分裂したが、西欧諸国の足の乱れが顕在化してきている。米国も同様であり、共和党内でトランプ派が力を持ち始めている。

英国でも過去30年間で最大規模の鉄道ストライキが起き、インフレへの対応が、世界各国で国民の不満の原因になっている。この大きな原因がエネルギーと食糧不足であり、ウクライナの小麦やロシアの小麦、天然ガスと石油の依存度が高いことによる。

この中、ドイツのショルツ首相は、ウクライナ復興に第2次大戦後の「マーシャルプラン」と同様の大規模な資金援助が必要であり、「何世代にもわたる課題」になるとしたが、ドイツが中心で進めるようであり、ドイツが欧州の主役として出てきた。どちらにしても、停戦の条件をウクライナと詰めることになりそうである。同時に戦闘が続く間は、ウクライナを支えるという。

もう1つ、ロシアからの天然ガス供給をなくすというロシアの警告に、西欧諸国は、慌てている。ドイツのハーベック経済相はロシアとのガスパイプライン「ノルドストリーム1」について、7月予定の点検後に稼働を再開するかは確信が持てないとしたが、ロシアは保守部品がないことを理由にする可能性がある。

これに対して、ドイツは石炭火力発電所廃止の延期などで天然ガス供給停止の事態に備える。

もう1つ、ドイツのショルツ首相は、欧州はロシアからの化石燃料輸入への依存解消を加速させるとして、ノルドストリーム2でLNG運搬船から天然ガスを引き込めるように改造するという。LNGシフトに舵を切った。

このため、6月26日から始まるG7首脳会談で、米国LNGを中国が買わない分を欧州に回して需要を賄うが、足りない分として、欧州は日本・韓国に中東からの天然ガスの一部を譲ってほしいと依頼される可能性がある。どちらにしても、早急に対応を取る必要は出てきたようだ。

欧州諸国がウクライナ支援を続けられるか否かは、冬に向けて天然ガスの備蓄を積み上げられるかにかかっている。このため、日本も応分の負担を受けるしかない。そして、日本は原発を再稼働して、来年の冬を乗り切ることである。それしか、ウクライナ防衛戦争を支援する方法がない。欧米日のような民主国は、国民の不満があると、政策を変えるしかなくなるからだ。

ロシアは天然ガスや石油設備のメンテができずに、減った天然ガスを中国に優先的に供給するようである。石油はインドと中国に優先的に供給することになる。

しかし、国際金融取引SWIFTへのアクセス禁止の制裁処置で、中印以外のBRICS諸国との貿易が正常にできないので、プーチンは、西側諸国が「金融メカニズムを利用」し、「自国でのマクロ経済政策における過ちを全世界に転嫁している」と批判しているので、ロシアの石油輸出に支障がでているのであろう。

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