またも裏切られたプーチン。今度はどの国が彼の手を離したのか

 

要するに、エルドアンは、「自国の利益のみ」を貪欲に追求している。プーチンとか、トランプさんと同じ系列の指導者ということなのでしょう。

自国ファースト。実をいうと、中国やインドも同じです。確かに二大国とも、ロシアと通常の貿易関係をつづけています。そして中国、インドは、ロシアからの石油、ガスの輸入を激増させている(30%割引価格で輸入しています)。

しかし、両国とも「セカンダリー・サンクション」をおそれて、制裁品の取引は行っていないようです。結果、4月末時点で、中国の対ロシア輸出は38%減少しました。ダイヤモンドオンライン6月30日。

ロシアの友好国であり、ウクライナ戦争前の2021年にはロシアの総輸入の4分の1を供給していた中国の対ロ輸出も激減している。

「米国の輸出管理・制裁法では、中国企業がロシア向け機密品の販売禁止に違反すると、重要な技術、商品、通貨(主要な基軸通貨発行国は全て制裁に参加している)を入手できなくなる可能性があるとされている。中国の行動はこのリスクを反映している。侵攻後の対ロ輸出は、2021年後半と比較して38%減少し、非制裁国の平均と同水準となっている」(同レポート)

というわけで、「中国、インドがいるから、ロシアは大丈夫」というのは怪しいですね。

3月2日に行われた国連総会のロシア非難決議。賛成は141か国でした。棄権と意思を示さずが47か国だった。この中に中国、インドも入っています。この47か国は、「中立」といえます。

しかし、どういうわけか、とてもたくさんの人が、「棄権」「意思を示さず」の国々を、「ロシアの味方」にカウントしています。これは、おかしいでしょう。

もちろん、中国は、心情的にはロシアの味方に違いありません。だからといって、「制裁破りをしてロシアを助け、セカンダリーサンクションをくらう」ほどの決意はないのです。これは、その他の国々も同じことです。

ちなみに、「ロシア非難決議」に反対した国々がロシア以外に4か国ありました。北朝鮮、シリア、ベラルーシ、エリトリア。これが「ロシアの味方のメンツ」です。とても「強力な布陣だ」とはいえません。

ロシア、ウクライナ東部ルガンスクの戦闘では、なかなか健闘しているようです。実際、ルガンスク州のほぼ全域を支配下におくことに成功しました(一方で、南部ヘルソン州では、ウクライナ軍が押しています)。

しかし、ウクライナ侵攻前から書いているように、【大戦略的敗北】は必至です。ウクライナとの戦闘に勝っても、「地獄の制裁」はつづいていく。ロシアの国際的信用は失墜し、味方はシリア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリアだけ。

「ルガンスク州を制圧した」

4か月以上かけてあげた【戦術的戦果】。ですが、【大戦略的失敗】を取り戻すことは不可能です。

(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』2022年7月4日号より一部抜粋)

image by: ymphotos / Shutterstock.com 

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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