6月には「おとり広告で」景品表示法で再発防止命令、7月には生ビールの半額キャンペーンでの品切れで炎上した回転寿司チェーン「スシロー」が22年9月期の予想純利益を大幅に下方修正した。回転寿司業界でまさかのひとり負け状態。客の信頼を裏切ったスシローはこのまま失速していくのだろうか?
失った信用は大きすぎた?スシローの業績悪化
スシローを運営するFOOD&LIFE COMPANIES(F&LC)は4日、2022年9月期の連結純利益を従来予想の87億円から30億円と大幅に下方修正した。
6月には昨年9月から12月に販売されたウニやカニなどのメニューが、実際には約600店舗で9割も提供できなかったのにCMを継続していたことで、「おとり広告」として公正取引委員会から措置命令を受けたスシロー。
その後も「生ビール半額キャンペーン」の展示物を誤って前倒しで掲示し、半額だと思って飲んだ客に通常の価格を払わせたことで炎上した。
コロナ第6波が収束後は、軒並み大手回転寿司チェーンは回復基調にあり、ほとんどの会社が、前年度を上回る売上げだったが、「スシロー」だけは騒動が持ち上がった6月期からは前年度より売上げが下がり、ひとり負けの状態が続いている。
「くら寿司」は店長の焼身自殺でブラックな体質が明らかになり、「かっぱ寿司」寿司全皿半額キャンペーンで長蛇の列を作り、いずれも炎上した。
同じ炎上にしても、「スシロー」の場合は消費者を裏切っていることから、大きなダメージを受けることになったようだ。
措置命令を受け、F&LCの社外取締役や外部弁護士の調査報告書によると、企業体質に問題があり、「消費者に対する配慮を欠き、売上げを偏重する傾向があった」「コンプライアンス上の問題を上司に進言しにくい企業風土があった」と指摘している。
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おとり広告は改善したが再びやらかす可能性も?
8月になってスシローは「100円祭り第二弾」を展開中。8月3日から9日まで行われる「いくら二貫」は1週間で200万食を販売予定で、今のところ全店舗売り切れることなく販売されそうだ。供給可能な商品を広告にしており、「おとり広告」の面では改善されているとみえる。
しかし、スシローは10月には全メニューを一皿120から150円にする値上げに踏み切ると。信頼回復もなしえないままの値上げが消費者に受け入れられるのだろうか。
「大阪王将」の炎上騒ぎ同様、飲食チェーンの経営は数字だけでなく、全方向のコンプライアンスにもバランスよく気を配ることが必要だといえそうだ。
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株価も急落したスシローだが、下方修正発表の翌日にはなぜか持ち直した。株価が一番下がったときが買いのチャンスであり、「スシロー」はまだ持ち直す可能性があると予測している投資家が多いのかもしれない。