核による“人類の自殺”まで秒読み段階。暴走プーチンが握る世界の命運

 

ペロシ下院議長は自身の長い議員生活を通じて、ずっと中国の人権問題への懸念を提起し、天安門事件の後には、人権蹂躙の現実に対して天安門広場に赴き、プラカードをもって抗議するという行動にも出ています。

天安門広場に行かれたことがある方には、それがいかに恐ろしい行動かお分かりになるでしょうが、案の定、その先には中国の治安警察と対峙して退去されるという外交上の事件も起こしています。米中間の微妙な相互理解の下、あまり本件は大きく扱われませんでしたが、中国共産党にとってペロシ氏は常に要注意人物であったと言われています。

ゆえに、彼女が大統領権限継承順位第2位の高官であるという事実だけではなく、ペロシ氏の一貫した対中強硬姿勢を受けて、中国政府、そして中国共産党は、彼女の訪台に激しく抗議したのだと、複数の北京における知り合いから聞かされました(米軍機での訪台という示威行為も、北京の怒りを買ったという話もありました)。

しかし、今回、ペロシ氏はどうしてそこまで米中関係のみならず、ただでさえ緊張が高まっている国際情勢に負のインパクトを与えるだろう行動に出たのでしょうか?

帰国後のペロシ議長の発言によると、「習近平氏にとっては、私の訪台は気に食わないことがあっただろうが、民主主義を堅持し、その価値を守ろうと奮闘している台湾を、友人として見逃すことは出来ず、中国からの圧力に対して断固として戦うための連帯を示さざるを得なかった」ということです。

先週もお話ししたとおり、本件に対してはホワイトハウスも国務省も一定の距離を置きつつも、実際にはペロシ氏の訪台を支持する姿勢を取っていますが、これは一説によると、数日前の米中首脳電話会談での対話にも関わらず、中国が核実験施設を拡大するという“暴挙”に出たことが報じられたことで、バイデン大統領も外交的な得点をつぶされたという認識があったからではないかとのことです。

【関連】中国が大激怒。ペロシ米下院議長「電撃訪台」が日本にもたらす災厄

ちなみに中国からは「(同じ)電話会談で噂されていたペロシ氏の訪台を、米中間の緊張がこれ以上エスカレートしないためにも止めるように依頼したにもかかわらず、舌の根も乾かない間に、習近平国家主席のメンツをつぶした」という抗議がなされています。

その抗議の強さの表れが8月4日から7日までの“予定”です。これは台湾周辺で、台湾を取り囲むような構図で実施された本格的な【実戦演習】で、中国軍は弾道ミサイル東風を台湾周辺に打ち込むほどの気合の入れ具合で、米軍の太平洋艦隊も、在日米軍も久々にhigh alertになって実戦配備に入ったと言われるほどのものでした。

ただここで中国政府内のある問題が表面化します。先述のように演習は7日で終わるはずでしたが、8月8日以降も、終了期限を明らかにしないまま継続され、台湾国防軍との間での一触即発の緊張が高まっています。何が問題かというと、明らかに外交部は延長の話を聞かされておらず、内外のメディアから問い合わせをされても情報を持ち合わせていなかったことで、報道官も「軍の発表を見てください」とだけ答えたことでしょう。

ここで浮かぶ疑問が「誰の指示で軍事演習が継続されているのか」という点です。

人民解放軍の中枢がすでに、北京からの指示の有無にかかわらず、臨戦態勢に入り、台湾および周辺にいる日米勢力に対してDon’t touch Taiwan的なメッセージを示したという見方が一つ。

それとも台湾もアメリカも一歩も退かない状況に直面して、習近平国家主席から継続の指示が下りた結果という見方が別の見方です。

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