核による“人類の自殺”まで秒読み段階。暴走プーチンが握る世界の命運

 

前者だとしたら明らかに中国共産党のコントロールが効いていない(かつて習近平国家主席は軍をまだ掌握できていないという情報があったように)ことを国内外に示してしまうことになり、場合によっては大問題に発展し、秋の習近平国家主席の3期目就任に黄信号が灯ることにもつながります。習近平体制の脆弱性と中国共産党の崩壊のシナリオを描きたい方々がサポートする説です。

後者については大いにあり得るシナリオで、これはそろそろ開催されると見られている北戴河会議に絡んで、習近平国家主席とその周辺が「台湾海峡での軍事的緊張の高まりはあくまでもアメリカが仕組んだものであり、中国は核心的利益であり、固有の中国の一部である台湾を守る覚悟を示すために、演習を延長し期限を設けないことで、中国の覚悟を示す」という狙いがあり、習近平国家主席の指導力に対して、国内外、特に党内からの非難・批判が集まることを避けようという狙いがあったのではないかと見られています。

ちなみに、ペロシ氏訪台以降、当局の規制にもかかわらず、中国内のSNSは大荒れの様子で、一説では秋の共産党大会での習近平国家主席の続投に悪影響が及ぶとの見方も出てきているようです。

ただ、いろいろな情報を分析してみると、北戴河会議で共産党長老たちが一枚岩で習近平国家主席の3期目をブロックするとは私は見ていません(ただし、一枚岩のサポートも得られないでしょう)。

ペロシ氏の訪台は確実に中国共産党にとってはショックとして捉えられ、これを防ぐことが出来なかったことで、習近平体制への強い批判は存在するものの、習近平指導部が米中対立を過度にエスカレートさせていない状況のまま北戴河会議に突入できれば恐らく3期目は安泰だと思われます。

また同時に、共産党の長老たちは米中の相互依存体制をよく認識しており、中国の国際社会でのステータスを保持するために“アメリカとのある程度の緊張は必要”と考えられているようで、その点では、何とか現状を維持できている習近平体制には合格点が与えられると見られているようです。

同時に長老たちの中では「アメリカおよびその同盟国(つまり日本)との軍事的な紛争は絶対に避けるべき」という意見が大勢で、それは人民解放軍の軍備の質・量が大幅に上がっているのは事実としても、1967年の中越戦争以降、実戦経験がなく、もし中国人民解放軍が敗戦を喫することにでもなったら、それは国恥であると考えられ、これまで急ピッチで進めてきた勢力拡大にも不可逆的なショックを与えることになると予想されることも大きな判断基準として働くようです。

ある中国政府高官の言葉を借りると「台湾は中国にとって生命線であり、共産党としては、あくまでも一国2制度の下、台湾は中国の一部という現状維持が望ましいと考えられている。しかし、習近平国家主席とその周辺は、台湾を併合し、中国を統一するという、これまで誰もなしえなかった偉業を達成することで、習近平氏は類まれないリーダーであるという像を作り上げて、習近平氏を終身国家主席にするという悲願もあるため、共産党側の現状維持路線との折り合いがつくか否かが、この秋に向けた主な関心事だろう」とのことでした。

それをより強固にし、台湾を中国につなぎとめ、台湾海域問題をはじめとする中国周辺地域での中国の行動に対する外国勢力の介入を阻むために必要とはじき出された答えが、どうも地下核実験場の拡充と核戦力の急速な拡大という路線だというようです。

もしこれが適切な見方だとしたら、それは一体何を意味するのでしょうか。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 核による“人類の自殺”まで秒読み段階。暴走プーチンが握る世界の命運
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け