中国が大激怒。ペロシ米下院議長「電撃訪台」が日本にもたらす災厄

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7月31日にアジア歴訪のため米国を発ち、8月2日夜、台湾を電撃的に訪問したペロシ下院議長。当然のごとく中国政府は猛反発し大規模な軍事演習を行いましたが、なぜアメリカは中国を逆なでするかのような外交カードを切ったのでしょうか。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、バイデン政権がペロシ氏の訪台を敢行した理由を考察。さらに今こそが、北東アジアで混乱が起きた際の備えについて、すべての日本国民が真剣に考えるべきタイミングにあるとの見解を記しています。

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再びきな臭くなってきた米中対立と国際情勢

「アメリカからウクライナに供与されたハイマースなどの高性能兵器によって、ウクライナは失地回復を進めている」

「ウクライナはロシア軍を東部および南部から押し戻している」

「実はアメリカは、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻前から、ウクライナに肩入れしていた」

いろいろな戦況に対しての話題が主に英国のMI6経由でもたらされ、日本でもその様子が報道されていますが、以前ほどの関心を得ていないのは明らかです。

それには現在、第7波として猛威を振るうコロナウイルスの感染再拡大が国内の最大の関心事になっているからという背景もありますが、間違いなくウクライナの戦況に一喜一憂する雰囲気は消え去ったと思われます。

しかし、世界はそれで安定に向かうかというと、そうは問屋が卸さないようです。

どうしても私たちはリスクを追求する性質を持つからなのか、それとも次から次へと危機的な状況が押し寄せてくるからなのかは判断が難しいところですが、アメリカ連邦議会下院議長で、大統領継承順位第2位に位置するナンシー・ペロシ氏がアジア歴訪に出て、ついに8月2日夜に台湾に降り立ちました。

「ペロシ議長がその歴訪中に台湾を訪問するのではないか?」

そのような噂が出てきてすぐに、中国政府は激しく威嚇しましたが、そのような威嚇はもろともせず、ペロシ氏一行を乗せた専用機(米軍機)は、万が一のケースを想定して、中国が軍事拠点などを築いて実効支配する南シナ海を迂回する形で飛行し、台湾に降り立ちました。

下院議長のようにハイランクなアメリカの政治家が台湾を訪問するのは、ニュート・ギングリッチ元下院議長以来25年ぶりだそうですが、中国からの苛烈な反発が起こり、アジアをめぐる安全保障環境に多大な影響を与えることが分かっていながら、どうして今、アメリカはこのカードを切ったのでしょうか?

ナンシー・ペロシ議長の政治家としてのレガシーづくりという噂もありますが、本当にそうでしょうか?

それも久々に米中首脳が電話会談し、習近平国家主席からバイデン大統領に対して再三、台湾やアジアをめぐる状況をあまり緊張させるようなことはしないよう依頼された矢先に(そして習近平国家主席は、共産党幹部や長老に対して、米国との緊張緩和を得点としてアピールしようと画策していた時に)。

私もペロシ氏の訪台の可能性を耳にした際には、中国に対するある種の威嚇ぐらいに感じ、実際には国内外からのプレッシャーもあり、最終的に訪台は見送るとみていたのですが、その予想は見事に外れました。

そして仮に訪台しても、台湾に着陸して挨拶をする程度で、給油などを済ませたらすぐに韓国や日本などに向けて飛びたつぐらいのシンボリックな行動に過ぎないのかな、と思っていたのですが、しっかり1泊2日の日程で、蔡英文総統との会談まで行うという、他の訪問国と同等の扱いを意味する“本格的な訪台”という姿勢を取りました。

こうして国内外に向けて、ナンシー・ペロシ氏に見事にメンツをつぶされた格好になる習近平国家主席ですが、今後、どのような反応を見せるのでしょうか?

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