中国が大激怒。ペロシ米下院議長「電撃訪台」が日本にもたらす災厄

 

現在のところ、主だった反応としては

【台湾との一部製品の輸出入の暫定停止】
【台湾外交部関連団体への支援・関与の禁止措置】
【8月4日から7日に実施される台湾海域・空域を含む本格的な軍事演習】

が挙げられますが、3つ目の軍事演習の内容がどの程度のものであるのかはとても注目しなくてはなりません。

今回の注目点は

【実弾を用いた本格的な全軍の演習であること】
【台湾の海上・空域の閉鎖を模した訓練であること】
【初めて台湾の東側の海域・空域に中国人民軍が配置されることで、台湾がぐるりと囲まれる形になること】
【中国政府発表の今回の演習範囲が一部日本の排他的経済水域(EEZ)に重なること】(中国は日中間のEEZの取り決めはまだ合意されていないと主張しています)
【米軍の原子力空母ロナルド・レーガンが近海に展開されて、米軍側もかなり警戒しているらしいこと】

などがあるでしょう。

7月28日に米中関係は首脳間での電話会談を通じて改善の雰囲気が演出されていましたが、そのポジティブな影響はすでに今回のペロシ議長の訪台で吹っ飛んだと思われます。

一応、ホワイトハウスとしては【あくまでもペロシ議長の判断の下、行われた台湾訪問であること】、そして【誰しも自由に台湾を訪問する権利があること】に触れつつも、やっと開きかけた中国との対話のチャンネルを閉ざすことがないように苦慮しているように見えますが、どちらかというと、ペロシ議長の行動と少し距離を置くスタンスを取っておくことで、有事の際の責任逃れの戦略も見えてきます。

米中共に現時点で軍事的な直接対決は賢明ではありませんので、恐らく戦争に至るようなことにはならないと考えますが、実弾を用いた演習であることと(実際に台湾海域にミサイルを撃ち込んで見せました)、台湾の軍の反応内容によっては、偶発的な衝突が望まない軍事的な衝突を生み出す可能性は否めないと思われます。

そして、日本にとってはこの海域は近海と呼べるエリアで、かつ日米安保条約に基づく日米協力のレベルを示すものにもなりますので、自衛隊による軍事的な行動までは必要ないにしても、即応態勢に入った部隊の展開を含むそれなりに厳格な対応が必要となるでしょう。

ちょうどこのメルマガが皆さんのもとに届くころには実施されている中国による軍事演習の内容を注意深く見守りたいと思います。

日本の近海での出来事、そして台湾をめぐる有事には、菅政権でコミットメントレベルを高めたことを受け、確実に日本が巻き込まれることになるため、メディアもSNSも台湾ネタ・ペロシ議長の訪台ネタでもちきりですが、これで実際にウクライナ情勢から国際社会の関心が薄れたかと言えば、話は別です。

今回、ペロシ議長の訪台を受け、中国政府の猛抗議は予想可能でしたが、多数のチャンネルを通じてロシア政府が猛烈にアメリカ政府を非難したのは、表現の選択に迷いますが、とても興味深いとみています。

ロシア政府は【アメリカ政府は地政学的なバランスにおいて、すでにここにアメリカの居場所がないことを悟るべき】と中国政府のコメントに合わせた非難をしつつ、【民主主義という名の下、どこででも我が物顔で行動し、好き放題にできるという妄想を捨てるべき】とまで表現したのは多くの疑問を呼びました。

これはウクライナをめぐる情勢で、中国政府がロシア政府の立場を、苦慮しつつもサポートし、守っていることへの返礼という見方もできますが、アメリカが最近になってウクライナに本格的にハイマースなどの射程の長い兵器を供与していることに対するフラストレーションも込められているものと思われます。

この記事の著者・島田久仁彦さんのメルマガ

初月無料で読む

 

print
いま読まれてます

  • 中国が大激怒。ペロシ米下院議長「電撃訪台」が日本にもたらす災厄
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け