岸田首相が萩生田氏を政調会長に据えたのは、清和会(安倍派)のドン、森喜朗氏の推挙があったからだといわれる。
安倍晋三氏という大黒柱を失い、清和会が一致結束していくのは難しくなった。下村博文氏や稲田朋美氏、西村康稔氏、世耕弘成氏ら派閥会長の座を狙う面々はゴロゴロいても、誰もが認める後継者がいないのが派内の実情だ。
こうなると、岸田首相にしてみれば、安倍派に隠然たる影響力を持つ森氏の意向を受け入れることが、最大派閥を味方にしておく最良の策と算段したに違いない。かねてから統一教会がらみの噂のあった萩生田氏を閣外に出し、安倍派への配慮を政調会長人事で示す。一石二鳥と思ったはずだ。
ところが、改造内閣の大臣たちも次々に統一教会との関わりが浮上、臨時国会で野党の追及を受けるのは避けられないうえ、萩生田氏についての報道が過熱し、岸田首相の任命責任が問われている。
萩生田氏は、政調会長ポストを得て一度は派閥会長後継レースで優位に立ったかに見えたが、今回の問題で躓いたことは確かだ。今後は派内から、情報リークなど足を引っ張る動きがあるかもしれない。
安倍元首相の国葬をひかえ、その最側近だった萩生田氏をはじめとする統一教会報道が長引けば、いち早く国葬を閣議決定した岸田首相への世間の風当たりはいっそう強まるにちがいない。
岸田首相が苦境を乗り切るには、萩生田政調会長を更迭し、明確に統一教会との決別を宣言するしか手はなさそうだ。
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image by: Twitter(@生稲晃子 いくいな晃子(参議院自民党・東京選挙区))