■もらえる年金額を計算するポイント
公的年金には、国民年金と厚生年金があります。国民年金は、20歳から60歳までのすべての人が加入する年金です。それに対して厚生年金は、会社員や公務員が勤務先を通じて加入する年金です。
会社員や公務員は毎月の給与から厚生年金保険料(国民年金保険料含む)を支払っています。原則として65歳から国民年金と厚生年金両方の老齢年金を受け取ります。
国民年金の老齢年金を「老齢基礎年金」、厚生年金の老齢年金を「老齢厚生年金」といいます。
さて、記事のテーマである「年金を月20万円もらうためにはどうすべきか」を考えるにあたり、押さえておきたい計算のポイントがあります。
●老齢厚生年金と老齢基礎年金で計算方法が異なる
老齢厚生年金の金額は「平均年収÷12×0.005481×加入月数」という式で簡易的に計算できます。この計算式からは、平均年収が多い、加入月数が多いともらえる金額も増えることがわかります。
老齢基礎年金の満額は77万7800円(2021年度)。20歳~60歳までの40年間(480ヶ月)国民年金保険料を支払えば満額が受け取れます。しかし、保険料の払込期間が40年に満たない場合は、その分減額となります。たとえば、もし国民年金保険料を全体の4分の3の期間(30年分)しか支払っていなければ、老齢基礎年金の金額も4分の3になるというわけです。
●老齢厚生年金の保険料には上限がある
老齢厚生年金の金額は、平均年収が多いと増えるとお話ししましたが、どこまでも増えるわけではありません。老齢厚生年金の保険料には上限があり、年収762万円を超えると、それ以上、納める保険料は増えなくなります。納める保険料が増えないということは、もらえる年金額にも上限があるということです。
これは、「標準報酬月額」という金額によってわかります。
標準報酬月額は、厚生年金保険料などの社会保険料を算出するときの基準となる給与のことです。原則として、毎月4月~6月の給与の平均額(報酬月額)を等級表に当てはめることで、標準報酬月額がわかります。
32段階に分かれている等級のうち、もっとも高い32等級の標準報酬月額が65万円です。月額63.5万円以上の方は、すべて32等級となるため、極端にいえば年収762万円でも年収1000万円でも支払う厚生年金保険料は同じで、加入月数が同じであれば公的年金の金額も同じになります。
●70歳まで厚生年金に加入できる
厚生年金は、原則として70歳まで加入できます。働き続けることで加入月数が増えるため、その分受け取れる厚生年金の金額も増えます。年金を月20万円もらうための努力ができるということです。
●年金の繰り下げ受給で受け取れる金額が増やせる
年金の受け取りは原則として65歳からですが、受け取りの開始時期を遅らせることができます。これを繰り下げ受給といいます。
繰り下げ受給では、65歳から1ヶ月遅らせるごとに年金額が0.7%ずつ増えます。2022年4月以降は、最大で75歳まで繰り下げることで年金額が84%増やせます。