あの「悪夢の紛争」が再燃か?ウクライナ戦争の裏側で燻る新たな火種

 

そして8月にはアメリカ政府が大きな賭けに打って出て、全面的に台湾への肩入れを表面化し、それがどの方面に飛び火するのか予測もつかない事態になっています。

「秋の共産党大会が終わるまでは、緊張は保たれたままだろうが、大きな動きはない」という予想もあれば、「アメリカ政府からの“挑戦”を受けて、自らのcapabilityを国内外に示すために、習近平国家主席は近々台湾への攻撃を加える。アメリカの準備ができる前に」という物騒な予測もあります。

そして私が懸念を抱くのが、ロシア・プーチン大統領がこれまで用いている“核兵器使用”の可能性を仄めかす戦術を習近平国家主席も真似するのでないかとの懸念です。

中国の核弾頭保有数は、ロシアのそれには遥かに及びませんが、ここで大事なのは、「それぞれの核戦力の能力」と「全体の軍事戦略内での核戦力の位置づけ」です。

ここ最近になって、米ロとの戦力差を埋めるための方策として、宇宙・サイバー戦略と並び、核戦力の急速な拡大が行われています。

先日触れたように、新疆ウイグル自治区の地下核実験施設の拡大が行われている兆候もありますし、昨今、性能を伸ばしかつ実戦配備されているとされ、核弾頭搭載可能な極超音速ミサイルの存在も懸念材料です。

そしてペロシ議長の訪台への抗議として行われた実戦形式での訓練において、東風17号をはじめとする弾道ミサイルを確実に標的に撃ち込んだ技術は、無視できるものではないでしょう。

そこに予測不可能な北朝鮮の核戦力とミサイル能力の伸長は、混乱の国際情勢の中で確実に見逃し聞き逃してきた典型的な脅威だと考えます。

世界中の国々が皆そろって同じ方向を見ている時代は終わり、それぞれがそれぞれの利害に基づいた思考を通じて安全保障戦略を立案・実行する“確実に分断された世界”において、いかに不要な戦いを未然に防ぎ、火種を絶やし、すでに行われている争いを迅速に収めるか。

そのための英知が今、急ぎ必要とされていると考えます。

まとまりのない文章になってしまったかもしれませんが、以上、国際情勢の裏側でした。

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