諸悪の根源。大企業が自民党議員に握らせる“政治献金”という名の合法ワイロ

 

「GoToキャンペーン」実施も自民党への政治献金効果!

それだけではありません。

今般のコロナ禍においても、年間数百万円の政治献金やパーティー券収入を得ていた「全国旅行業協会(ANTA)」会長で自民党幹事長も務めていた二階俊博氏は、たちまち血税2兆7,000億円の予算を組む音頭を取り、2020年7月に「GoToキャンペーン」をスタートさせています(旅行代金の35%割引・15%分の地域共通クーポンを配布)。

感染を全国に広めた──と指摘されて途中で中止になるなど、外部不経済(特定対象の補助や支援が社会全体に不利益をもたらす効果)の典型例でしたが、日頃の政治献金の上納効果は、まさしく霊験あらたか──だったわけです。

当時の週刊文春の記事によれば、自民党の二階幹事長を筆頭とする自民党の観光族議員は、観光関連の14団体で構成された「ツーリズム産業共同提案体」から、合計で約4,200万円の政治資金を受けており、「利益誘導疑惑」までが報じられています。

政治献金は、合法ワイロの別名通り、限りなく不透明なカネといってよいわけです。

そして、今日も、コロナ第8波の襲来が懸念される中、性懲りもなく同様の「全国旅行支援」なるキャンペーンを実施しています。

自民党議員が一番儲かる構造!

日本の政界では、つねに「政治とカネ」の問題が浮上し続けてきました。本当に毎度のことで、呆れ返ります。

とりわけ、国会の与党政治家の懐には、税金が原資の世界一高額な議員報酬(年間の歳費が1,561万円・期末手当が635万円・無税の文書通信交通滞在費が1,200万円・立法事務費が780万円の合計で4,176万円)に加えて、政治任用での政府ポスト(大臣・副大臣・政務官・補佐官)の報酬に加え、「所属政党からの政党交付金のおこぼれ(最低でも1,000万円以上)」や、民間からの合法的なワイロといわれる「政治献金」「パーティ券収入」が入る仕組みになっているのです。

ちなみに2020年の自民党への企業・団体による政治献金は23億3,500万円で前年比では3.4%減でした。

たった数十億円で、数千億、数兆円の見返りが望めるのが、大企業による政治献金の効果になるのです。

企業・団体政治献金の中には、野党向けの労働組合からの政治献金もありますが、野党に入る献金は、政治献金全体の総額のわずか5%程度にすぎません。

したがって、事実上、企業・団体政治献金は、自民党のみしか享受していないのが実情なのです。

自民党が何といっても「政権与党」だからで、自民党議員にだけ、大企業からのカネが集まり、大企業優遇の政治がまかり通るわけです。

こうして見ると、自民党議員には高額報酬の他に、多額の企業・団体からの政治献金や政党助成金の党からの分け前など、つまり、「カネ・カネ・カネ」のモチベーションだけが、強く刺激されるオイシイ構造が附随しているわけです。

こうしたオイシイ収入にあずかれる議席を得た議員が、自分の子息を後継者にして、自民党が世襲議員ばかりになるのもわかるでしょう。

「権力と高額報酬と高待遇」という3拍子揃った、こんなにオイシイ職業は、日本では他に見当たらないからです。

どうせ金を稼ぐなら、任期中に少しでも多く──という議員一人一人の欲望喚起心理がはたらくのが、与党・自民党政治の正体といってもよいのです。

ちなみに、政治献金には、個人がカンパする形で行う「個人献金」もありますが、これも限度額を超えた企業・団体献金の隠れ蓑としての(企業・団体献金の限度総額を超えた分)偽装個人献金もあるため、純粋な個人献金かどうかは不透明です。

こうした政治献金は、建前上は、政治家個人に直接献金を行う形では禁じられています。ただし、あくまでタテマエ上です。

実際のところは、政治団体(資金管理団体および後援会)への個人献金か、もしくは政党への企業・団体献金が一定の枠内で認められるものになっています。

ゆえに仕組みを表向き複雑に見えるようにしただけで「政治資金規正法」もザル法に他ならないのです。

結局、政治献金は政治家個人のフトコロに入るようになっているからです。

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