「政治資金」は政治家の個人資産形成にも活用されてきた!
たとえば、2006年に「週刊現代」が報じて発覚した事例では、小沢一郎衆議院議員の政治団体「陸山会」が、ゼネコンから得た6億円余の政治献金で土地を購入し、小沢議員個人の名義で登記していたことが問題になりました。
政治団体とは名ばかりで、議員個人が支配する「財布」にすぎないという事例です。
また、世襲議員の場合、親の政治団体に残った資金を「無税」で引き継ぐことが出来るようになっています。
通常の親子間などでの「相続」の場合は、「相続税」がかかります。
しかし、「政治資金」の継承は「無税」で出来る仕組みを、国会で過半数を超える議席をもつ与党・自民党らが、「お手盛り」で自分たちに都合のよい法律を作ってきたからこそ、こうなっているのです。
ゆえに、政治家になれば、「資産形成」も「代々の資産継承」もまことに容易です。
ちなみに、企業や団体は、規模や資本金に応じて年間750万円から1億円を上限に、政治団体などに献金できることになっています。
そして個人は、政党などに最高額で2,000万円、政治家の資金管理団体へは最高額で1,000万円までの献金が出来ます。
もちろん、前述の通り、個人献金には「政治献金の枠」からはみ出てしまったカネが、個人を偽装して紛れ込んできます。
ゆえに「企業・団体献金」だけを禁止しても無駄で、政治献金は「企業・団体献金」だけでなく、「個人献金」も禁止しなければならないゆえんなのです。
政治献金によって、政治は大企業優遇政策へと向かうのは、至極当然の道理となるのです。
中小・零細企業はおカネをくれないからです。
おカネをくれるのは、大企業だけなので、大企業中心に政策で便宜を図るだけなのです。
つまり、私たち国民の声は一向に届かず、無視されるわけです。
「労働者派遣法における中間搾取を許すな!」と叫んでも、「消費税を廃止しろ!」とデモ行進をしても、「外国人技能実習制度は人権蹂躙で世界の恥だからやめろ!」などとみんなで非難しても、政治献金をくれるのは大企業ですから、大企業に逆らうような規制や法律は作れないのです。それが自民党政治です。
たった一票での投票でしか意思表示できない国民よりも、現金をくれる大企業のほうが、政治家の懐が温まる構図ゆえに、どうにも仕方がない構図になっているのです。
「企業・団体政治献金」も「個人政治献金」も同じ穴のムジナ!
いうまでもないことですが、企業・団体献金は限りなく「賄賂(ワイロ)」の性格を帯びたものです。
見返りが得られないのに、政治献金をするのなら、上場企業の場合なら、株主代表訴訟で訴えられかねない性格でもあるからです。
ここからして、もはや大矛盾なのです。
個人献金の場合でも、個人のタニマチが、政治家に何らかの口利きを依頼する場合の温床になるなど、ろくでもないケースが殆どでしょう。
かつて横行していた「交通違反のもみ消し」や「裏口入学」「裏口入社」といった伝統的な口利きにしろ、権力を笠に着て「横車を押す」行為に他ならないからです。
とまれ、政治献金などは、「個人」も「企業・団体」も一切禁止してしまえば、透明な政治に近づけるはずなのです。
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