習近平政権をイライラさせる米の「言行不一致」は2023年も続くのか?

 

事実、この話し合いが行われたのと同じ12日、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)がワシントンで記者会見に臨み、中国に対する半導体規制の抜本的な強化に向け、日本やオランダに協力を要請したことを明らかにしたのだ。これは、半導体製造装置で強みを持つ日本やオランダなど「懸念を共有する国々」に呼び掛け、対中輸出を絞り、高機能な先端半導体を中国国内で生産できなくさせることを狙った動きだ。

前述した河北省廊坊市の高官会談でも「バリ島での米中首脳会談での共通認識の実行」が基準だと汪報道官が語っているが、中国側の目には「言行不一致」の典型的な例だと映るはずだ。試みにバリ島でのジョー・バイデン大統領の発言(中国側が発表)のなかで、中国側が期待した部分について、以下に抜粋して見てみよう。

「私は中国の安定した発展はアメリカと世界の利益に符合すると考えている。アメリカは中国の体制を尊重し、体制転換を求めない。新冷戦も認めないし、盟友国と関係を強化することで中国に対峙することもしない。台湾独立も支持しないし、『二つの中国』も『一中一台』も支持しない。中国との衝突も望まなければ、デカップリングに向かおうとも思わない。中国の経済発展を阻害しようとも思わないし、中国包囲網を築くつもりもない」

読めば明らかなように、半導体の問題に限らず、言っていることとやっていることはちぐはぐだ。

ワシントンでは中国に対抗する動きも見られた。12月13日から3日間の日程で開催されたアメリカ・アフリカ首脳会議だ。出席したバイデン大統領は、今後3年間で総額550億ドル(7兆5千億円)をアフリカ支援向けに拠出すると表明すると同時に、アフリカ連合(AU)が20カ国・地域(G20)の常任メンバーとなることを支持すると正式に表明。アフリカ取り込みに意欲を示した。

アメリカが対アフリカ外交に力を入れると聞けば、真っ先に思い浮かぶのが中国との資源獲得競争だ。NHK(国際報道2022)は早速「コンゴ民主共和国とザンビアの間で電気自動車の電池に使われる『コバルト』の生産に協力する文書に調印した」ことに着目した。

番組では、ブリンケン国務長官の「コンゴ民主共和国は世界のコバルトの70%以上を生産。ザンビアはアフリカで2番目のコバルト生産国で6番目の銅生産国だ。重要な鉱物に対する世界の需要は今後数十年間、急増する」という発言も紹介した。

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