コンゴの資源と聞けば、やはり思い出されるのは広島と長崎に落とされた原子爆弾の原料、ウラン鉱石だ。エノラ・ゲイ号で運ばれた原爆「リトルボーイ」が広島の相生橋を目標に、上空600mで爆発した1945年8月6日は、日本人には忘れられない日だ。
ウランの含有量がきわめて高い上質なウラン鉱石がコンゴ産出だと他国に知られないように米英が「カナダ産」だと偽装工作したことは良く知られている。アフリカの資源が重要であることを思い出させるエピソードだ。
しかし、いまや時代はアフリカをただの資源争奪戦の「草刈り場」としてだけ見ようとすることを許すのだろうか。そこにはアフリカのメリットなどないことは、アフリカ自身が積み重ねてきた歴史が何よりも物語っている。そうした点では、どうやら中国に一日の長がありそうだ。
本稿の冒頭ではコロナに触れたが、思い出されるのは、ワクチン不足に苦しむアフリカが頼ることができたのは欧米ではなく中国だった。西側先進国では、期限までに使い切れなかったワクチンが大量に破棄されるという行為が目立ったが、アフリカに回されることはなかった。そのことをアフリカの国々は見てきたのだ。
またアメリカとアフリカの接点は、これまでずっと下降線をたどってきた。『環球時報』の記事(12月15日)によれば、アメリカの対アフリカの直接投資は2014年には690億ドルだったのが、2021年には448億ドルまで下がり、貨物の貿易額も昨年は643億ドルにとどまり、その数字は2008年のほぼ半分だという。
アメリカ・アフリカ首脳会議の様子を伝えたPBSのキャスターは、「この会議でアメリカは民主主義の価値観に合わない国の指導者を招いていませんか?」と皮肉とも批判ともとれる質問をしていたが、まさにアメリカのダブルスタンダードに鋭く切り込んだ形だ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年12月18日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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