習近平政権をイライラさせる米の「言行不一致」は2023年も続くのか?

 

コンゴの資源と聞けば、やはり思い出されるのは広島と長崎に落とされた原子爆弾の原料、ウラン鉱石だ。エノラ・ゲイ号で運ばれた原爆「リトルボーイ」が広島の相生橋を目標に、上空600mで爆発した1945年8月6日は、日本人には忘れられない日だ。

ウランの含有量がきわめて高い上質なウラン鉱石がコンゴ産出だと他国に知られないように米英が「カナダ産」だと偽装工作したことは良く知られている。アフリカの資源が重要であることを思い出させるエピソードだ。

しかし、いまや時代はアフリカをただの資源争奪戦の「草刈り場」としてだけ見ようとすることを許すのだろうか。そこにはアフリカのメリットなどないことは、アフリカ自身が積み重ねてきた歴史が何よりも物語っている。そうした点では、どうやら中国に一日の長がありそうだ。

本稿の冒頭ではコロナに触れたが、思い出されるのは、ワクチン不足に苦しむアフリカが頼ることができたのは欧米ではなく中国だった。西側先進国では、期限までに使い切れなかったワクチンが大量に破棄されるという行為が目立ったが、アフリカに回されることはなかった。そのことをアフリカの国々は見てきたのだ。

またアメリカとアフリカの接点は、これまでずっと下降線をたどってきた。『環球時報』の記事(12月15日)によれば、アメリカの対アフリカの直接投資は2014年には690億ドルだったのが、2021年には448億ドルまで下がり、貨物の貿易額も昨年は643億ドルにとどまり、その数字は2008年のほぼ半分だという。

アメリカ・アフリカ首脳会議の様子を伝えたPBSのキャスターは、「この会議でアメリカは民主主義の価値観に合わない国の指導者を招いていませんか?」と皮肉とも批判ともとれる質問をしていたが、まさにアメリカのダブルスタンダードに鋭く切り込んだ形だ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2022年12月18日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by:Salma Bashir Motiwala/Shutterstock.com

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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