「持ち家vs賃貸」論争に終止符か。投資のプロが「日本の住宅ローンは危険」と断言する理由

 

日本の住宅ローンは、欧米よりもリスクが大きすぎる!

マイホームのローン返済に窮して、任意売却や競売に到れば、残債がそのまま「借金」として残ります。

高い価格で買って、安い価格で売るから、そうなります。

日本の住宅ローンが特異なのは、 リコースローン (遡及型債務=そきゅうがたさいむ) だからです。

金融機関は融資するにあたって、購入する住宅に抵当権を設定しますが、融資の与信枠は融資対象者の属性によって決まります。

ゆえに、高額所得者は、信用が増すので、そのぶん余計に大きく融資が受けられます。

欧米の住宅ローンは、 ノンリコースローン (非遡及型債務) です。

住宅の価値のみへの融資なので、ローンの返済に窮したら、マイホームを金融機関に差し出すだけで、その住宅の価値が上がっていようが、下がっていようが、ローンを借りた人の責任はそこで終わりになります。

日本のように、ローン返済に窮して、融資を受けて購入した住宅を差し押さえられ、所有権を手放しても、貸出金の返済額がまだ不足している──として、さらに 残債の借金を背負わされる仕組み とは、根本的に異なるのです。

日本の金融機関は、物件の担保価値まで査定して融資したにもかかわらず、実際にはまるで 「貸し手責任」が問われない のです。

日本の金融機関が、いかに 能天気な商売 をしているかが窺えます。

金融機関は、ほとんどリスクを負わず、住宅ローンの借り手側に、ほぼ 全責任を押しつけている のです。

日本でも、欧米型のノンリコースローンを普及させないと、日本の住宅ローン利用者は、リスクが大きすぎるのです。

庶民が夢のマイホームを購入し、経済情勢の影響で会社をリストラされたら、ローンが払えなくなるのは当たり前です。

日本の住宅ローンのような、阿漕(あこぎ)な融資を許している日本人は、もっと声を上げるべきでしょう。

つまり、マイホームのために、こんなおバカなローンを借りること自体が「おバカ」だと思わなければいけません。

ハイパーインフレでも起きて、お金の価値が激減する期待でもあるならともかく、こんな危ない借金でマイホームなど買うべきではないのです。

そんな被害者がワンサカいるのが今の日本の実情なのです。

一般に、住宅ローンの返済が滞り、競売や任意売却に追い込まれる 住宅ローン破綻率 は、これまでは約2%でした。

つまり、マイホーム購入者の50人に1人が相当します。

しかし、2020年からのコロナ禍で、収入が激減して返済に困った人たちの各関連機関への相談件数は激増しています。

そして、家を奪われても、 リコースローンの呪縛 に、多くの人がその後も苛まれるのです。

この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「持ち家vs賃貸」論争に終止符か。投資のプロが「日本の住宅ローンは危険」と断言する理由
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け