米国でバイデン電撃辞任説が急浮上。1月中にもハリスが米国初の女性大統領に?

 

まず、バイデンとしては、後述するスキャンダルや健康問題などを理由に、辞任するだけでいいわけです。とにかく辞めてしまえば、合衆国憲法の規定によりカマラ・ハリスはその瞬間に大統領に化けてしまいます。自分の発言について、党内とか世論がどう反応するかといった問題は全く心配する必要はありません。

とにかく辞めてしまえば、ハリスが大統領に自動的になってしまうわけで、そこには確実性があるわけです。そうなると、ハリスは全くの新政権をスタートできます。その場合は、「ハネムーンの100日間」が適用され、メディアは当面は好意的になるでしょうし、初の女性大統領、黒人女性大統領として国の内外で話題になるでしょう。

そのムードは「人権派だが市場主義者なので、インターンやボランティアが居着かない」とか「それゆえにスタッフが機能せず、いつまでも不人気」などという周辺の問題を吹き飛ばすインパクトを持ってくると思います。タイミング的には、その時期を上手く使って、例えば5月の広島サミットなどで議長の岸田総理の存在感などは吹き飛ばして、「史上初の女性黒人米国大統領」として注目を集めることも可能でしょう。

例えばですが、その勢いを年末まで維持できれば民主党内には「2024年は現職ハリス一本化で良いのでは?」という「空気」が醸成されることになります。仮にハリスの大統領としてのパフォーマンスが「今一つ」であったとしても、そこで予備選の泥仕合をやってハリスを「引きずり下ろす」となると、民主党は「2年だけの大統領を2人連続させる」ことになります。アメリカの政治風土はそうした不安定は非常に嫌いますから、現職ということでの求心力はマジックのように生じてくる可能性もあります。

ハリスは現時点では不人気なので、それこそニューサム知事などは「ハリスが相手なら戦う」というような意味のことを言っているわけです。ですが、仮にハリスが大統領になって人気化すれば、様子を見るかもしれません。どうしても抵抗するなら、副大統領候補に、いや2023年のうちにホンモノの副大統領に引っ張り込んでしまうことも可能でしょう。

その延長で、全く仮の話ですがハリスが2024年に本選で勝てば、バイデンとしても、自分が2020年に当選した際の「バイデン=ハリス政権」が2025年以降も続くことになるわけです。そうなれば「2年で辞めたことへの歴史的批判」も鎮静化するに違いありません。少なくとも自分としては、誰にも恥じることなく歴史に名を残せると思うはずです。

つまり、辞任してハリスを大統領にするというのは、「バイデン=ハリス」政権の実体を維持継続するには、最も合理的ということが言えます。一見すると「ウルトラC」的でもあるし、その瞬間には「辞任=責任放棄」に見えるかもしれませんが、ゲームのルールを考えると合理性はあります。私はその確率は40%ぐらいあると見ています。

そのタイミングですが、ズバリ「2023年1月20日まではない」という指摘ができます。この前にバイデンが辞任した場合も、先ほど申し上げたように、ハリスが自動的に昇任することには変わりません。その場合は、次の大統領の就任日(2025年1月20日)には、就任して2年以上になります。そして2024年の選挙に勝ったとしても、その任期の終わりには在任が6年を超えてしまい、「その次」への立候補資格を失います。

ところが、1月20日を過ぎると憲法の規定により、更に2期のタームが可能になり、最大で10年の在任が可能になります。先のことは分からないながらも、この最大6年強か、最大10年かという違いは大きいわけであり、ですから「1月20日以前はない」というわけです。反対に、1月21日以降は可能性が大きくなります。

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