米国でバイデン電撃辞任説が急浮上。1月中にもハリスが米国初の女性大統領に?

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首相就任依頼初めて訪米した岸田氏を手厚くもてなしたバイデン大統領ですが、現職として岸田首相と会談する機会は今回が最後だったのかもしれません。今回のメルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では著者で米国在住作家の冷泉彰彦さんが、バイデン氏がごく近いうちに辞任する可能性を指摘。さらに首相訪米がこの上なくいいタイミングであった理由を解説しています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年1月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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バイデン出馬断念の可能性と、岸田外交を問う

岸田総理の世界一周G7外交については、G7広島サミットの根回しというよりも、ロシアと中国を念頭に置いた西側世界の抑止力確保というテーマが前に出た格好となりました。この点については、疑問が残ります。結果的に、2つの問題が起きているように思うからです。

1つは、本年2023年5月の広島サミットのコンセプトが「核兵器の将来的な廃絶」「喫緊の課題としての核拡散防止」「核の傘と核禁条約の高度な両立」といった、人類として「より安全が保障される」方向ではなくなったということです。そうではなくて、ロシアのプーチン大統領の言動、そして中国の軍事演習などに対する強い反発を軸とした文脈における「核兵器による威嚇への反対」という問題が前面に出てしまいました。

政治的に見ると、岸田総理としては、広島における核兵器をテーマとしたサミットを、西側の結束とできるし、何よりも国内の「保守派」も満足するので政治的には正解かもしれません。ですが、これでは中ロとの間で、緊張のレベルを高めるだけの舌戦になるのは目に見えています。そういう方向性は現状維持ではないし、安全の保障とは言えません。

もう1つは、国内の「核武装派」をどう抑えるのかという問題です。広島サミットで核兵器の問題を取り上げれば取り上げるほど、国内における核武装論議は活発になることが考えられます。ネットの世界では、いわゆる「原子力ムラ批判」に血道を上げていた人が、ウクライナ情勢を見て「核武装」を本気で主張してみる、つまり平和利用は反対だが核武装には賛成というような「ねじれた」主張があるなど、かなり狼狽した動きが見られます。

そんな中、日本が核武装に進むことは東アジアにおける究極の「力による現状変更」になり、同時にNPT(核拡散防止条約)体制の崩壊を意味します。ですから広島で、仮に中ロをターゲットにしたものにしても、核拡散、核増備、核威嚇の反対をメッセージとして発信するにしても、日本国内の核武装論議を抑えられないと、議長国としては論理もメンツもぶっ潰れということになりかねません。

岸田総理の稚拙な政治からくる稚拙な外交は、そうした意味で「世界一周弾丸外交」の結果、自分自身を難しい立ち位置に追いやったとも言えます。

その一方で、岸田総理とその周辺は、ある危機的な問題については、適切な対処ができたと思います。その危機とは、バイデン大統領の進退という問題です。

日本ではほとんど報じられていないのですが、バイデン大統領の進退問題は、実はかなり危険な水域に入ってきています。現時点(米国東部時間の1月16日、祝日の午後)では、1月21日以降にバイデン氏が「2024年の大統領選には出馬しない」という声明を出す可能性が70%ぐらいある、そんな雰囲気が漂っています。

70%というとショッキングですが、少しその中身を説明したいと思います。現時点でバイデン大統領としては、自分の進退について具体的には、次の4つのチョイスがあると考えられます。

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