米国でバイデン電撃辞任説が急浮上。1月中にもハリスが米国初の女性大統領に?

 

1つは、2024年の大統領選に向けて「2期目の再選を目指して立候補」すると宣言し、同時に「自分は現職であり、また外交も経済も危機的な状況であるので、予備選で党内抗争をしている暇はないので、自分を支持するように民主党内の結束を呼びかける」という可能性です。

通常であれば、1期目の大統領としては自然な態度ですし、仮に自分が「党内結束」とか「予備選のスキップ」を言い出さなくても、党内は自然にまとまるのが普通です。戦時中であった2003年のジョージ・ブッシュは勿論のこと、1995年の時点でのビル・クリントン、2011年時点でのバラク・オバマ等の場合も基本的にはそうでした。2019年時点でのドナルド・トランプもそうだったのです。

ですが、バイデン氏の場合、この可能性は低いと考えられます。少なくとも、この2023年1月の時点で「自分の一本化でまとまるように」などと、大統領が呼びかけても説得力はなさそうで、可能性としては10%がせいぜいでしょう。

2つ目の可能性は「自分は出る」が「予備選は堂々と受けて立つ」という言い方をする場合です。実は、過去の多くの例に関しても、大統領自身の発言としては「自分は2期目に出るが、予備選で自分に挑戦してくるのは排除しない」という態度を示すことが多かったのは事実です。結果的に大統領はそう言っても党内はまとまるというのが普通でした。

ですが、今回の場合は「予備選での挑戦は受けて立つ」というような発言をすると、「本当に挑戦してくる」ライバルが出てくる可能性は否定できません。例えば、非常に有力な候補と言われているカリフォルニア州のニューサム知事の場合は「現職のバイデンが出たら支持するが、出なければ自分は立候補する」と言っています。バイデンが出るなら自分は「出ない」としているのです。

仮にバイデンが「出る」という発言をする場合は、例えばニューサム対策としては、自分が「出る」と言うことは、ニューサムに圧力をかけて様子を見るという意味になりますが、それでニューサムが本当に大人しく従うかは不明です。

いずれにしても「自分は出る。予備選での挑戦は受けて立つ」という可能性は20%ぐらいと思います。

3番目は「出ない」が「2025年1月までの任期は全うする」と宣言するという可能性です。後に詳しく述べますが、機密文書の違法保持問題など、バイデンの進退問題が出てくる理由としては、色々あるわけです。それとは別に、既に80歳になっているバイデンの場合は、年齢問題、健康問題が様々な格好で静かに問題視されているのは事実です。ですから「出ない」という可能性はあるわけです。

では、このように「出ない」が「4年の任期を全うする」という選択はあるのかというと、実は難しい問題があります。まず、「出ない」と言った瞬間に、残りの任期が「レイムダック化」するということがあります。ですが、例えばドナルド・トランプが2020年11月に落選した以降、残りの任期中に散々色々なことを「やらかした」ように、憲法に定められている合衆国大統領の権力(特権)というのは、大きなものがあります。

それに2025年1月には辞めるという宣言をするということは、2期目の大統領の7年目に突入するというのと同じことです。自分は一期4年で退任するとしておきながら、残る2年を「完走」するというのは、つまり再選された大統領が7年目を迎えるのと一緒で、大いに前例のあることだし、直接「レイムダック化して問題だ」ということにはなりません。

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