イランにミサイル攻撃か。中東に波及するウクライナ戦争の火の手

 

ロシアとウクライナの状況

ウ軍は、欧米兵器が到着するまでは、大規模攻勢をしないようである。一方、ロ軍は人的損害を覚悟の上、攻撃してきている。この背景には200万人の予備役がいることである。現在、戦争の主導権は、ロ軍に傾いている。

この状況を打破するためには、欧米の優秀な兵器が必要である。

プーチンは、欧米戦車などの兵器が揃う前に、ウ軍をドンバスから駆逐するしかないので、ゲラシモフ総司令官に、「3月中に東部ドンバス地方を占領して、戦争を止める」としたようである。

プーチンの命令により、ゲラシモフ総司令官は、主導権を取り戻すための新規攻勢の準備を進めており、その攻勢は早ければ2023年の2月か3月に始まる可能性があるとのこと。

ということで、ハルキウ州やルハンスク州で大規模攻撃をするようである。ヘルソン州から残存精鋭部隊と戦車などの装甲車両を集めて、ベラルーシで訓練していた動員兵と装甲車両とで構成するようだ。

ルハンスク州であれば、ウ軍が攻撃した時点で反撃して、カウンター・パンチでウ軍に大損害を与えることを狙っているようであり、ハルキウ州であれば、ウ軍の体制が整っていないので、奇襲になる。ベラルーシ軍の攻撃参加があれば、ベラルーシからキーウへの攻撃もある。

ワグナー軍の人海戦術も取り込みながら、従来の機甲兵力も組み合わせて攻撃する形になるようである。人的損害を無視したことでロ軍の攻撃方法は多様になっている。

やっと、ベラルーシで訓練していた第1親衛戦車軍の動員兵の訓練も終わり、全員がロシアに戻り、今後、どこかに配備されることになるが、機甲部隊が増加したことになる。

ウ軍は、逆にレオパルト2戦車が100両、M1エイブラムス30両、チャレンジャー2戦車が5月までには揃うことになるが、現時点でもT-72などの戦車が300両も温存していて、この300両の戦車で現状でも攻撃できるし、ブラッドレー歩兵戦闘車も、続々と届いているので、大規模な攻撃をできる状況ではある。しかし、ロ軍の大規模攻撃に対応する防御のために、ウ軍は当分、大規模な攻撃はしないようだ。

そして、ウ軍は、レオパルト2戦車と装輪装甲車が手に入り、次にF-16戦闘機、アパッチヘリやGLDBなどの長射程爆弾などの兵器・弾薬やロ軍のインフラ攻撃防止の防空システムの供与を欧米諸国に要請している。

これらが揃う春以降に大規模攻撃を行うので、当分は停滞した状態が続くことになる。F-16などの提供が遅れると、秋になる可能性も出てくる。すでにオランダがF-16の供与を打診している。

しかし、ドイツのピストリウス国防相は27日、ドイツからウクライナへ戦闘機を供与する考えはないと答えたという。F-16の承認は米国であるので、米国の考え方を知りたいですね。

もう1つ、ウ軍の無人機「キジバト」が運用開始したことで、ロシアは、クレムリン、官庁街、モスクワ近郊に防空ミサイルを多数設置した。ロシア国内の防空体制は脆弱であり、モスクワまで飛んでくることを想定しているようだ。

ロシアでは、昨年6月のセベロドネツク制圧でロ正規軍が消耗して、攻勢ができなくなり、急遽30万人の動員したが、ワグナーで戦果を上げていると宣伝でつなぎ、動員30万人の内、9万を戦線穴埋めのため訓練せずに即時投入し、残りの21万人を訓練完了して、ロ軍は正規軍主導に戻った状態である。このため、実戦兵力が充実してきている。

繋ぎ期間、プーチンは、プリゴジン氏のワグナーの要求を受け入れていたが、動員兵の訓練が終了して、もうプリゴジン氏の横暴な要求を聞く必要が無くなったことで、ロシア軍の体制も元に戻した。

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