証拠はなく「結論ありき」。TikTok「スパイ疑惑」再浮上の裏事情

 

アメリカ政府が外国企業に対して「アメリカの企業へ …

アメリカ政府が外国企業に対して「アメリカの企業への売却か禁止」という強い圧力をかけるのであれば、証拠を求めるのは当然のことだろう。

周CEOが言及した「プロジェクト・テキサス」とは、TikTokの情報を第三者が管理するシステムだ。具体的にはまずTikTokが新会社を設立し、その会社の取締役会がアメリカ政府に報告を行うことを義務付け、さらに従業員はアメリカ政府の承認を受け、米企業のオラクルがすべての利用者データを管理し、アルゴリズムとコンテンツもレビューするというシステムだ。

トランプ政権下で高まったTikTokへの懸念は、この「プロジェクト・テキサス」によってきちんと応え、払拭されたというのがTikTokの立場だ。つまり議会で再度この問題を蒸し返すならば、「プロジェクト・テキサス」の不備か、スパイ行為の具体的な証拠を見せてほしいというわけだ。

しかし議員らの質問は疑惑の追及というよりも断罪の色彩が強く、なかには「子供たちを自殺から守れるのか」と迫る議員までいて、TikTokに固有に存在すると指摘された安全保障の問題とは関係ない方向にずれる場面も散見された。

では、「プロジェクト・テキサス」を導入してもなお残る安全保障上の懸念とは何なのだろうか。現地メディアで報じられたポイントをまとめると、それは主にアルゴリズムの脅威ということになりそうだ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年3月19日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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