70年前の車両も。イラク戦争より旧式の戦車で戦うロシア軍の惨状

 

もう一つ、武器の面で言うと、戦車は、西側のシンクタンクが明らかにした数字では、戦車1,800両を含む4,800両くらい、5,000両近くのクルマといいますか、戦車以外にも装甲車、装甲兵員輸送車があり、また自走砲があり…。色んなクルマの類い、これらがたくさん壊されている。ウクライナ軍の発表ではもっと多いのですが、多めにカウントしている可能性もありますから。

とにかくそのような状態で、実はもう使える戦車がないのではないかと。で、今運び込まれているのは何かと言ったら、T54とかT55というほとんど博物館行き的な骨董品ばかり。沿海州の方にそういう武器をストックするための広大な公有地があり、そこから運び込んでいるのではないかと言われていますが、滅茶苦茶古いものなんですよ。作られて70年くらいたっている。本当にちゃんと走るかどうかも分からない、仮に作られた当時の能力を70年たった今も発揮できていたとしても、装甲などは現代の戦車とは比べものにならないくらい弱い。狙われたら簡単に撃破されてしまう。簡単は言い過ぎかもしれませんね、確かに歩兵の立場から見たら、鉄の塊のようなものが走ってきて上から撃たれたり大砲をぶっ放したりされれば、それは怖い存在でしょう。歩兵の立場から見ればやっかいな存在でありますが、精密な砲撃の対象になったときには多分、残骸の山を築くだけではないかと。

思い出すのは、イラク戦争の時、覚えておられますかね。フセインの軍隊と米軍が戦ったあの戦争で、メディアは盛んに「イラク軍は結構強い」とアメリカ軍でもなかなか勝てないのだと軍事評論家も言っていた。大統領警護隊でしたっけ、親衛隊というような、特殊部隊のようなものが10万人くらいいて、この人たちは強いですよと日本の軍事評論家も盛んに言っていた。ところがこのイラク軍部隊の主力である機甲部隊、戦車がいる部隊ですが、開戦して数日のうちにほとんど撃破されてしまいました。

イラク軍が持っていたのはTの60か70のシリーズだと思いますが、今ウクライナでほとんどなくなってしまったものですが、ほとんどやられてしまった。それをやったのが米軍のエイブラムスの最初の頃のバージョンなのではないかと思います。似たようなことが起こるのではないでしょぅか。また。勿論、その間には色々な犠牲をウクライナ軍も払うことになるのでしょう。何もかもそう簡単にはいかないのでしょうが、兵器の差は恐ろしい結果を招くという気がします。

ロシア軍の動員の話はもう一つあって。ガスプロムという巨大企業があり、国営で天然ガスを扱う企業ですが、そこがなんとワグネルに対抗するかのように民間軍事会社を作ったと言われています。そこで高い給料で誘って戦闘経験のある人たちを雇おうという。これ、国営ですよね。軍隊があり、それとは別に国営の軍事会社があり、そこにプロっぽい兵士が集まってくるという。どういったやり方をしてもウクライナ軍と戦ってくれる人が欲しくて欲しくて仕方がないというのが今の状況。

どんな結果になるかは分かりません。悲しいことなのでしょうが、和平の動きはなんかどういう立場でやっているのか分からない中国とか、あるいはトルコの動きとか。そのようなことはあっても、具体的に進みそうなものは考えにくい。ですから、決着は戦場で付けるしかないのだろうなと私などは思っています。ミグの戦闘機がスロバキアに続いてポーランドも供与することになる。その辺の国は大体、ミグを渡した隙間には米国製のF16が入るという感覚なのでしょうが…。

(『uttiiジャーナル』2023年3月26日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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