70年前の車両も。イラク戦争より旧式の戦車で戦うロシア軍の惨状

 

もう3月末になりましたが、あと1ヶ月くらいですかね。ヨーロッパの主力戦車がおそらく数百輛、ウクライナに供与されて、ウクライナ軍の戦術・戦略に大きなインパクトを与え、それは当然、ロシア軍にとっては悲劇的な結果に結びつくのではないかと言われています。まあ、そうなるのではないかと思います。

ウクライナ軍は自分のところの兵士が何人犠牲になっているかなどの具体的な数字、説得力のある数字を一切出していないので、大変な数なのではないかとの懸念がありますが、それよりも、ロシア軍の損害があまりにも大きいので、そちらに目を奪われてしまい、状況がかえって分からなくなるくらいのことです。

今、ロシアを巡っては、内輪もめが一つありますよね。ワグネルという民間軍事会社の代表、親分であるプリゴジンという人の力を削ごうとしているのがショイグ国防相並びにプーチンさんで、ワグネルはもうちょっと「用済み」感があるのかもしれませんが。とはいえ、戦闘経験のあるような人たちだけで出来ている組織ですから、軍事的にはロシア正規軍よりも大きな役割を果たしてきた、というところからすると、本当にそんなことやって大丈夫なのかと。まあ、大丈夫ではなくて構わないのですが、そういう感じになっていますね。

あと、もう一つ、起きていることで言うと、例の部分動員が30万人と言っていたじゃないですか。で、嘘か本当か分かりませんが、既に戦線に投じられたのは15万人で、その大半は既に死亡しているかあるいは重大な怪我を負って兵士としては使い物にならない。

で、残りの15万人はこの間ずっと訓練していた人たちで…という説もあるのですが、これ、本当かなと。ちょっと分からなくて。なぜそういうかというと、おおっぴらに動員をかけるのは9月に部分動員をかけたときに言っていたことで、その後は正式の動員はしていないのですが、実はこっそりやっている。「かくれ動員」なんて言われていて、動員とは違う理由で徴兵事務所に呼び出しておいて、ところでこういう条件で志願兵にならないかと誘いをかける。相手はカネに困っている人で、その求めに応じてすぐに入隊、すぐにウクライナに飛ばされるという…これを「ルート」と言って良いものか分かりませんが、そんなことがあるんだそうです。つまり、事実上の動員態勢にあって、人をかき集めようとしている。なぜそんな必要があるのかと言えば、戦線に投ずる兵士が不足しているから。

戦場というか、最前線に投じられている人の数が、ロシア軍の場合どんどん減っているらしい。死に絶えつつあるというべきかもしれませんが。凄い言葉で、キルレシオという言葉があり、ウクライナ兵を一人戦死させるのにロシア兵が何人死ぬかという率の話。1対5という人と、いやいや1対7だという人がいる。そういう形でウクライナ東部におけるロシア軍の「大攻勢」なるものが行われてきたのですが、失敗と言うべきか、どんどん攻撃の頻度が減っていて、人がいない、武器がない、これがロシア軍の動きを弱らせていると見られているようです。これも、15万人が1年以上の訓練を経てさらに現場に投入されるというようなことがあれば大変な騒ぎになるでしょうが、どうも本当にそんな態勢にあるのかな、と。

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