さっそく本文のなかから、気になった部分を赤ペンチェックしてみましょう。
「人に事うるを知る者にして、然る後に以て人を使うべし」
『孟子』は、「呼び捨てできない部下をもて」とも説いている。師に足るほどの部下をもてということであるが、よく人を用いる者の共通点の一つでもある
「では、一言で国を亡ぼさせる言葉はあるだろうか」というつづいての質問に、「やはり、質問の主旨に近い言葉があります。諺に“われは君たるを楽しまず。ただ物言いてわれに逆らう者なきを楽しむ”とあります。もし、良いことをいったために逆らわれないのならいうことはありませんが、悪いことをいっても君主たるがゆえに下が逆らわないということになりますと、この諺は国を滅亡させる言葉ともなりましょう」(『論語』のくだり)
「近き者説べば、遠き者来たらん」
「経営とは近き者を喜ばせるにあり」
年少者がトップを慕うのは、思いやりがあり、自分を成長させるための手本と考えるからである。人間とは、年若いときからより立派な人間になろうと考えているものである。そのため、それを助けるような人物に魅力を感じる
「林深ければ則ち鳥棲み、水広ければ則ち魚游ぶ。仁義積めば則ち物自ら之に帰す」(『貞観政要』の言葉)
人の長所が見えて自分の短所が見えるようであれば進歩するが、人の短所だけが見えるようでは進歩の芽を自ら摘むことになる
真に喜びを与えようとするなら、本性を伸ばし、人材に育てあげること
高弟の子貢が、政治の目標についてきいたとき孔子はこう答えている。「食糧の充実、軍備の充実、人民の間の信義の三つだ」と。子貢が再びきいた。「その三つのうち一つ外すとしたら、どれにすべきでしょうか」「それは軍備だ」「残り二つのうち一つ外すとしたら、どれでしょうか」「もちろん食糧だ。信義が失われては、生きていてもその甲斐がないではないか」
「寄らば大樹の陰」という気風を残している間は、真の組織の活性化は望むべくもない。寄るべき樹を切り倒してしまえば、死地に涼を求めることになる
「財を望んで財に頼らず」
名言ばかりで、どこを取り上げるのか迷うほどの名著です。
過去の自分の至らなさと、栗山監督の見事な采配と照らし合わせながら読むと、なるほど人を用いるとはこういうことなのかと、腑に落ちることだらけでした。
ある程度歳を重ね、人の上に立つ経験をしてから読むと、さらに味わい深い一冊だと思います。
ぜひ、読んでみてください。
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