中国と韓国にも喰われる始末。なぜ日本の製造業はここまで凋落したのか?

 

日本から海外への投資ばかりが激増

80年代以降、日本の主要産業の多くが、工場や生産設備を海外に移しました。それはデータにも明確に出ています。

下は、日本から外国への直接投資残高と、外国から日本への直接投資残高の数値です。

日本と外国との直接投資残高(2021年末)

 

日本→外国  …1兆9,872億ドル(約26兆円)
外国→日本  …3,518億ドル(約5兆円)

 

出典:JETROサイト

これを見ればわかるように、日本から外国への投資は、外国から日本への投資の5倍以上になっています。日本は、外国との投資において大幅な「輸出超過」になっているのです。

つまりは、日本は外国に巨額の投資をしているけれど、外国からはあまり日本には投資をしてくれていない、ということです。

日本の経常収支は、長い間黒字が続いていますが、それはこの「対外投資超過」のためなのです。そして、日本経済の大きな問題点である「国内の工場がどんどん海外に移転していく」ということも、この数値に表れているのです。

安い人件費の国に工場を移転すれば、短期的には収益を増やせますが、長い目で見ると自分の首を絞めることになります。工場を海外に移転すれば、どうしても技術が海外に流出してしまうからです。中国や韓国の製造業が急発展したのは、日本の工場移転と密接な関係があります。

東芝の白モノ家電分野を買収した中国企業の美的集団などはそのいい例です。美的集団は、もともとは東芝の子会社であり東芝の工場移転と技術支援によって発展した企業なのです。

この20年間、設備投資がほとんど増えていない

そのため、日本国内の製造設備はこの数十年ほとんど進歩していないのです。下は、主要先進国のこの20年間の設備投資の増減を示したものです。

2021年の主要先進国の設備投資(2000年を100とした場合)

 

日本     108,7
アメリカ   177,5
イギリス   116
ドイツ    124,7
フランス   151,4

 

(出典:内閣府令和4年度「年次経済財政報告・設備投資の国際比較」)

これを見れば、日本は、この20年間で設備投資額がほとんど増えていないことがわかります。つまり、日本国内の工業生産力はほとんど上がっていないのです。先進国というのは、途上国に比べると設備投資の伸びは低いものです。先進国は設備が整っているので、どうしても増加速度は落ちるのです。その設備投資が少ない先進国と比べても、日本はひときわ少ないのです。

この20年間、世界経済は大きく拡大し、工業生産も爆発的に増加しています。にもかかわらず、日本の工業生産能力はほとんど上がっていないのです。それは日本の企業が、国内の生産設備を整えるよりも、海外に工場を建設することを優先してきたからです。

次回は、日本の製造業が海外進出することで沈滞化してしまった経緯を、家電業界を例にとって説明していきたいと思います。

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