連続強地震が首都圏の地震発生へ及ぼす影響について
現在日本列島各地で連続発生している強地震群の中で、5月11日の千葉県南部地震Mw5.5(最大震度5強)と、5月14日~15日の八丈島近海群発地震M5.0~M5.9の8回に関しては、いずれも発生メカニズムに共通性・相関性があるため、首都圏における地震活動への影響を否定できません。
5月11日の千葉県南部地震Mw5.5は、房総半島直下のフィリピン海プレート内部地震であり、東日本大震災で割れ残ったため特に警戒すべき領域で発生したものでした。また5月14日の八丈島近海地震Mj5.9(Mw5.8)のメカニズム解(発震機構)を、以下の図中の「Moment Tensor」に示します。これによると、この地震は北東-南西方向へ張力軸を持つ正断層型のアウターライズ地震であり、フィリピン海プレートの浅部が相模トラフの沈み込み方向へ引張られる形で破壊されたものでした。八丈島近海での8回の群発地震は、何れもこれと同様の破壊メカニズムであることから、首都圏の直下へ沈み込んでいるフィリピン海プレートにおいて、強大な引張り力が作用し、プレート内部及びプレート境界における負荷が増大していると推測されます。
ここで留意すべき点は、八丈島近海地震Mj5.9の破壊方向が、千葉県南部地震Mw5.5の震源域の方向に符合しており、両地震が近い時期に発生したことから、八丈島近海群発地震は千葉県南部地震の誘発地震と考えられます。その際に、誘発地震の方が規模が大型化していることから、今後さらに規模が大きい地震が誘発される可能性を否定できないのです。
関東地方における地電流・地磁気の観測結果によると、現在首都圏でM7クラス以上の大地震が発生する前兆は現れていません。しかしながら、上述しましたようにフィリピン海プレートが高負荷状態にあること、5月11日の千葉県南部地震Mw5.5が1例であるように、東日本大震災で割れ残った房総半島(及びその沖合)において地震活動が活発化していることなどを考慮すると、「首都直下地震はいつ発生しても不思議ではない」との認識と気構えを持ち、必要な準備を進めていくことが肝要であると考えられます。
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