超巨大地震の発生間近か?地震のプロが震え上がった「あの震源」

 

M6クラス強地震が連続発生しているメカニズム

ではなぜ5月のこの時期に、わずか2週間の期間でM6クラスの強地震が(M5.9を含めて)7回も連続発生したのかという疑問が残ります。これに関しては、実は今年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震Mw7.8が関係していると考えられます。トルコ・シリア大地震の発生によって、東アナトリア断層は最大で9.1mも北東方向へずれ動きました。この巨大なずれ動きにより、東アナトリア断層を押していたアラビアプレートとユーラシアプレートでは、作用していた圧縮力が一旦緩み、圧縮応力(=力/断面積)が弛緩しました。

この応力弛緩の影響で、ユーラシアプレートを反対側から押している日本列島の各プレート境界においても、いったん圧縮応力が緩み、強い地震が発生し難くなったと考えられます。

日本とトルコ・シリアは約10,000km離れていますが、厚さ200km以上の剛強なプレート岩盤を支え合っている間では、このような力の相互作用が発生するのです。

実際のところ、今年の2月~4月にかけては全国的に強い地震が減少していました。この期間に発生したM6クラスの地震は、2月26日の釧路沖Mw6.1(最大震度5弱)、3月28日の青森県東方沖Mw6.4(最大震度4)の2例でしたが、これらの2例は何れもユーラシアプレートとは直接押し合っていない、北米プレートと太平洋プレートの境界で発生したものです。

しかしその後、ユーラシアプレートの応力弛緩が約3ヶ月間かかって元の状態に回復していくにつれ、日本列島の各海溝への応力負荷が回復したため、5月以降各地で強い地震が連続発生していると考えられます。したがって、トルコ・シリア大地震の余波を受けての強地震の連続発生であり、日本列島に新たな巨大地震の脅威が差し迫っているわけではありません。

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