ウクライナ戦争の推移
ウ軍は戦力の集中がなく、多方面で戦力を分散させているため、米国当局者は、ウクライナ軍が現在の攻勢でマリウポリを落とすのは極めて困難だと判断しているようだ。
米国当局者によると、ペンタゴンは単一突破点への大規模戦力の集中をウクライナに対して「何度も」すすめたが、ウクライナ政府は兵力損失を考えて、それとは違った戦略を選んだと。
分散的な戦闘でも、徐々には前進できるが、問題なのは、重防備した三重の防衛線すべてを突破できるかどうか、そしてトクマクやそのさらに奥にある目標を奪還するというような、さらに重要な戦果を達成するための十分な戦力を、消耗してもなお、保持できているかどうかにあるという。
クピャンスク方面
ロ軍は、シンキフカとその西側のオスキル川沿いのウ軍陣地を攻撃したが、撃退されている。シンキフカからペルショットラブネバの間のウ軍は、高台の陣地まで撤退して、防備を固めている。
クレミンナ方面
ロ軍は、ディブロバの北西に戦車隊を先頭に攻撃して、ウ軍陣地を複数制圧して、支配地を増やした。
セレブリャンスクの森でもウ軍とロ軍が戦闘中であり、ウ軍はアゾフ旅団を支援に送った。
ザポリージャ州方面
1.ベルカノボシルカ軸
中央では、ウ軍は、ウロジョイナを奪還した後、更に南のスタロムリニフカの戦いも始まった。
それと、ウロジョイナの東側でも前進して、高台のロ軍陣地を攻撃している。
ロ軍はウロジョイナに攻撃したが、ウ軍に撃退されている。
2.オリヒウ軸
ウ軍は、ロボティネの北半分を奪還したが、ロ軍が逆襲をして、中央部で戦闘したが撃退し、ウ軍がロ軍の地雷原を克服し、トクマク解放の戦いに突入と、第1防衛線に到達したようである。
ヘルソン州方面
ロミルブロガーは、アンノフスキー橋南西の第2の橋頭保やコザチ・ラヘリの橋頭保をロ軍が破壊したという。ロ軍は、ザポリージャ州から空挺部隊をヘルソン州に戻してきたようである。
これを見て、アンノフスキー橋の橋頭保を残して、後の橋頭保から撤退したようである。
そして、ノボカホフカの西のコルスンカ北部にウ軍特殊部隊が上陸している。
ウ軍の軽装備特殊部隊は重火器のロ軍空挺部隊には勝てないので、撤退したようであるが、この部隊は違う場所に上陸して、ロ軍の重装備部隊を翻弄する。この重装備部隊をヘルソン州に留めておくことが役目だからだ。
しかし、ロ軍はザポリージャ州方面から空挺部隊をヘルソン州に戻したことで、ウ軍はベルカノボシルカ軸に温存していた新たな機械化部隊を複数入れてきた。その中には第82空中強襲旅団も含まれている。この旅団には英戦車チャレンジャー2、ドイツのマルダー歩兵戦闘車、ストライカー米歩兵戦闘車などがあり、最強部隊の1つである――(『国際戦略コラム有料版』2023年8月21日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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