今年の春に盛り上がりを見せたWBC侍ジャパン、見事優勝を果たし大きな話題となりました。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、そんな侍ジャパンを率いた栗山英樹監督のインタビューを掲載。日本が勝ち切った要因について明かしています。
WBC「侍ジャパン」が勝ち切った要因
ただいま発行中の『致知』最新号にて、侍ジャパンを世界一に導いた栗山英樹前監督と、円覚寺派管長・横田南嶺氏との対談記事が掲載され、非常に大きな反響を呼んでいます。
さまざまな試練を乗り越え、見事、世界一の栄冠をつかんだ要因は何だったのでしょうか。
『致知』10月号対談記事の一部をご紹介いたします。
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横田 「チームづくりにおいて監督が大切にされたことは何ですか?」
栗山 「強い組織というのは、全員が自分の都合よりもチームの都合を優先し、全員がチームの目標を自分の目標だと捉えていることだと思っています。
そういうことを伝えるために、今回は長くミーティングをする時間がなかったものですから、30人の選手全員に手紙を書きました。
僕はあまり字がうまくないんですけど、墨筆で。それを代表合宿がスタートする日に、各人の部屋に置かせてもらったんです」
横田 「ああ、手紙を墨筆で。しかも30人に」
栗山 「真心ってそういうものでしか伝わらないような気がしたものですから」
横田 「それは恐れ入りました」
栗山 「手紙に書いたことは、あなたは日本代表チームの一員なのではなく、あなたが日本代表チーム。
要するに、自分のチームだと思ってほしいと。
会社でもサラリーマン意識で勤めているのか、自分がオーナー経営者だと思って働いているのかでは感覚が全く違いますよね。
全員に『このチームは俺のチームだ』と思ってやってほしかったんです。
そのため、普通はキャプテンを一人指名するわけですが、今回は全員がキャプテンだと。
正直言って僕が相手できるような選手たちじゃなくて、本当にトップクラスが揃っていたので、一人にプレッシャーをかけるよりも、そのほうが勝ちやすいと判断したんです。
そうしたら、初日の練習が終わった後、ダルビッシュが僕の部屋に来て、『監督、全員キャプテンOKです。あれ、いいですね。しっかりやります』みたいなことを言ってくれました」
横田 「それでキャプテンを置かなかったのですね。ベンチにいる控え選手も含め、チームの一体感が画面からも伝わってきました」
栗山 「野球の試合は9人しか出場できません。例えば、ベンチに座っている選手がふんぞり返るようにして傍観しているチームなのか、それとも前のめりになって声を出しながら、いつ出番が来てもいいように準備しているチームなのか。
要するに、他人事にするチームはやっぱり勝ち切らないと思うんですよ。
僕はそれをファイターズの監督をしていた時に実感したので、『自分のチーム』『全員がキャプテン』なんだと伝えました」
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