日本語の「オノマトペ」が世界の言語の中でも群を抜いて多いワケ

 

ママ、マム、マミーのM音は、子どもの生理的な快楽

さらに『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』の著者・黒川伊保子さんは、感性リサーチという会社の代表で、なかなかユニークな論を展開しています。たとえば、子どもが母親を呼ぶ際にはママ、マム、マミー、マーマー、オンマなどのようにM音になると言うのです。P音とB音も子どもが好む音です。パパ、バブバブ、babyもbab+yです。クマのプーさん、パンダ、ミッフィーも同様で、P音とB音のよく似た破裂と振動が生理的な快感に結びついています。

黒川さんは、音から潜在脳に浮かぶイメージをサブリミナル・インプレッションと呼んでいます。また、五感を通じて脳に入力される知覚情報が脳に描く印象の質をクオリアと呼んでいます。ことばが子音と母音の組み合わせで生まれるのと同じように、クオリアが組み合わさって、一つのサブリミナル・インプレッションが作られます。

音について様々なイメージがあるのですが、ゴジラ、キングギドラ、カネゴンなどの名前にはG音がついています。これは掴んで引きずり回すといったイメージがあり、暴力的であると同時に華やかさも持っているといいます。ギャング、ギャンブル、ギャラクシーなどは、暴力であると同時に華やかさも兼ね備えたデカダンスな美学を帯びています。

こうした音のイメージは、商品名やブランド名にも生かされているというマーケティングにも使われているんです──(メルマガ『前田安正の「マジ文アカデミー」』2023年9月15日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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未來交創株式会社代表取締役/文筆家 朝日新聞 元校閲センター長・用語幹事 早稲田大学卒業、事業構想大学院大学修了 十数年にわたり、漢字や日本語に関するコラム「漢字んな話」「漢話字典」「ことばのたまゆら」を始め、時代を映すことばエッセイ「あのとき」を朝日新聞に連載。2019年に未來交創を立ち上げ、ビジネスの在り方を文章・ことばから見る新たなコンサルティングを展開。大学のキャリアセミナー、企業・自治体の広報研修に多数出講、テレビ・ラジオ・雑誌などメディアにも登場している。 《著書》 『マジ文章書けないんだけど』(21年4月現在9.4万部、大和書房)、『きっちり!恥ずかしくない!文章が書ける』(すばる舎/朝日文庫)、『漢字んな話』(三省堂)など多数。

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