私はキョンキョンとは1985年の『NHK紅白歌合戦』での囲み取材で言葉を交わしたことがありました。
ただこの時もNHKの幹部から、当時キョンキョンと交際していたアーティストの事には触れてくれるなという、極太の釘が刺されていたものでした。
インターフォン越しのキョンキョンは、新聞配達員が軽傷だったことを知った後だったのか、妙に声が明るかったことが強く印象に残っています。
「心配をおかけしました…」と改まった声で答えたキョンキョンに私は「その時亀梨君は一緒にいたんですか?」とついつい禁断の質問をしてしまいました。
すると彼女の声は一瞬でテンションが上がり、最初に自己紹介していた私に「もう1度、どちらの社ですか? お名前は?」ととげとげしく聞き返してきたのです。
その裏には“どんなに頑張ったって、絶対に記事にはならないのョ! 知っているでしょ!”という言葉が隠されているのです。
“THE芸能界”全盛の頃に、大手芸能プロダクション所属の人気タレントたちが共通して示していた高圧的な態度がこれでした。
結局キョンキョンと亀梨は、この事故からしばらくして自然消滅したと言われています。
私が思うに、結婚を強く望んでいた亀梨を、事務所が無理矢理引き離したというのが真相のようでした。
ラジオでの“一番悪い膿みたいなの”が、“悪いかさぶた”になって傷を覆い、公になってこなかった数々の奔放な恋愛を、本人は特に隠すことなく生きてきたように思えるキョンキョン。
“THE芸能界”における恩恵、忖度…こんな言葉が頭の中をグルグルと回り始めた私に、歩き回った目黒川周辺の遊歩道の景色が色鮮やかに蘇ってきました。
プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao
記事提供:芸能ジャーナリスト・芋澤貞雄の「本日モ反省ノ色ナシ」
image by : 総務省, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons









