イランではない。戦争中のプーチンがハマスに「武器弾薬支援」をした“真の思惑”

 

これまでにないほどの混乱と緊張に包まれる世界

ロシアの野望に対抗するためにウクライナを支援する欧米諸国とその仲間たちも、複数フロント(正面)で大きな紛争が同時的に勃発すると、対応に狂いが生じ、大きな遅延も発生することになるでしょう。

その結果、ウクライナ支援の輪から離脱せざるを得ない欧米諸国とその仲間たちが出てきて、それはドミノのように波及し、ウクライナが振り返った時には誰もいない状況で、ロシアと対峙する必要が出てくるという、これもまた悲劇的な状況が発生し得ます。

アメリカ政府については、その実現可能性には疑問符が残りますが、11月17日に有効期限を迎える臨時予算の後継として、ウクライナ支援とイスラエル支援を抱き合わせにした予算案を提案していますが、イスラエル支援では超党派の支持は取れそうですが、ウクライナについては、打ち切られる公算が高くなってきているようです。

欧州各国は、イスラエルにシンパシーを持ち、ハマスの蛮行を非難しつつも、どうしても問題からは距離を置く姿勢が見られますし、ウクライナへの支援にいたっては、英仏独伊における国内情勢の動きとは別に、中東欧諸国がウクライナへの支援よりもまずは私たちの国を助けるべきという姿勢に変わってきており、それが今後、そう遠くないタイミングでのウクライナ支援からの脱退という事態に発展しそうな感じです。

今週に入ってアメリカ軍がウクライナに提供したM39 ATACMS弾道ミサイルが対ロ攻撃に投入され、早速戦果を挙げているようですが、ウクライナの希望とは裏腹に、下手にロシアを刺激できないアメリカが(これまで以上に、NO.1プライオリティのイスラエル支援に乗り出す必要から)ウクライナから退くというシナリオも現実化しそうな気がしてきます。

イスラエルとハマス。ロシアとウクライナ。アゼルバイジャンとアルメニア。セルビア系住民とアルバニア系住民の間での衝突が再燃してきているコソボ。ミャンマーにおける内戦の激化。大地震によって壊滅的な影響を被っているアフガニスタン…

いろいろなところで紛争が起き、新たな国際紛争の種が同時進行的に起こりそうな中、平和的解決を図るためのリソースが絶望的に不足しており、どこかで起こる戦争を調停できない恐れが出てきました。

調停グループにとっても喫緊の課題なのですが、残念ながら妙手はなかなか見つかりそうにありません。

出来る限りの努力はもちろんしますが、今後、私たちが生きる世界は、これまでに経験したことがないほど混乱と緊張に満ちたものになるかもしれません。

以上、今週の国際情勢の裏側でした。

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