跡継ぎが会社を引き継いだ途端に会社が急成長する、もしくは倒れていく…その違いはどこにあるのでしょうか。今回、無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者、土井さんは、アトツギのためのベンチャー思考やアドバイスをまとめた一冊を紹介しています。
【後継者が会社を大きく伸ばすには】⇒『アトツギベンチャー思考』
山野千枝・著 日経BP
こんにちは、土井英司です。
長崎県最古の企業、田中鎌工業では、後継ぎが事業に参画して以来、海外からの注文が殺到しています。
また、同じく知人ですが、札幌に本拠地を置くヤマチユナイテッドグループは、今の山地章夫社長が引き継いで会社は急成長、2022年現在で、年商は245億円に達しています。
地方では、スタートアップよりもアトツギベンチャーの方がうまくいく。
これは、実感としても言えると思います。
本日ご紹介する一冊は、この「アトツギベンチャー(ベンチャー型事業承継)」の提唱者、山野千枝さんが、後継者のための事業心得を記した一冊。
大阪産業創造館を経て、一般社団法人ベンチャー型事業承継を設立、数多くのアトツギベンチャーを支援してきた著者だからこそ書ける、ディープな事業承継のヒント・事例が満載の一冊です。
「○千人に指導」とか言いながら、事例が薄っぺらい本を読むと、心底うんざりするのですが、本書は、事例・アドバイスともに「深い」。
後継社長が直面するお金や人間関係、ビジネスの問題を事前に指摘し、どう解決すればいいか、丁寧なアドバイスをしています。
なかでも感銘を受けたのは、「未来志向の経営者になるためにアトツギ時代に学んでおくこと」としてまとめられた、事業承継までのロードマップ。
この表を見るだけでも、後継社長になるまでにやっておくべきことが、明確になると思います。
同様に、家業の経営資産と未来志向キーワードを掛け算する「新規事業アイデアの拡散シート」も役に立ちます。
これを使えば、家業から突然変異することだって、できるかもしれません。
イノベーティブなビジネス視点と、それを実行する前に付けておくべき基礎スキル、さらには組織内で生まれるであろう軋轢の解決策まで、じつに実践的なアドバイスがなされています。