増殖する小賢しい裏金作りをする小物政治家
だが、「政治とカネ」の問題はその後も続いた。かつての田中角栄のような「巨悪」は確かにいなくなった。だが、政治資金規正法違反の問題は次々と起こってきた。政治資金のルールができても、その抜け道を探して、小賢しい裏金作りをする小物の政治家ばかりになった。どの内閣でも、閣僚の辞任が起きるのが常態化しており、それに国民も慣れてしまって、驚きもしない状態だ。
要するに、既存の社会に君臨してきた「ジャニーズ事務所」「旧統一教会」「安倍派」の問題は、約30年前にすでに顕在化していたものだ。その時に問題から目を背けて、抜本的な解決が図られず、延々と問題を先送りした結果が、膨大な数の被害者を生み、日本社会・政治を混乱に極みに陥れている現状だということを忘れてはならない。
1991年に大学を卒業して社会に出て、「失われた30年」を生きてきた筆者は痛感する。当時、「改革」という言葉が流行っていた。古臭い慣行は変わり、新しい日本が生まれると期待した。だが、結局何も変わらず、いつのまにかそれが世の中というものだと思う自分がいた。
重要なことは、堕ちていく権威・権力を叩くことではない。なぜこのような問題が先送りされ続け、深刻な事態を招いたのかということを追究することだ。来年は、日本社会に潜む本質的な問題を直視し、時代に合わないものを完全に排除し、今度こそ本当の問題解決を図る年にならなければならない。
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