被災地への理解と想像力が求められている
例えばですが、輪島市に岸田総理が入ったのが被災2週間後の1月14日になったのには、多くの必然の積み重ねがあると考えられます。今回は、少なくとも七尾で済ませるのではなく、輪島に入ったという点は評価していいと思います。
馳浩知事も、この総理の輪島入りに同行して初めて輪島に入ったという「遅さ」が批判されています。ですが、被災直後は県庁から奥能登については、往復10時間という世界であったわけで、県知事が情報の集約できる県庁からそんな長時間離れるわけには行かない中では、これも致し方ないのではないかと思います。
とにかく、今回の被災は、災害との闘いだけでなく、寒さとの闘いであり、同時に救援する側から言えば、能登の巨大さ遠さとの闘いでもあります。
この感覚を忘れずに、そして何度も申し上げているように、能登の人々の強靭さ、我慢強さへの畏敬を懐きつつ、事態を見守り、時期が来たら我々のできることをさせていただきたいと思うのです。
最後になりましたが、貴重な文化遺産である總持寺の祖院(輪島市門前町)や、白山神社(珠洲市)なども今回の震災で深刻な被災をしていると聞きました。
こうした寺社は、どう考えても日本という国のかたちの一部を構成するものであり、北の海岸線と同様に放棄できるものではないと思います。
※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2024年1月16日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
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