なぜ、小野田少尉は「ジャングルに30年間一人で潜伏」しても孤独ではなかったのか?

 

結局頭が働かなくなると、目標とか目的意識が希薄になるんです。だから、仲間と喧嘩をするのも、頭が働かずに正しい状況判断ができない時でした。

右に行くか、左に行くか。そっちへ行ったら敵の待ち伏せに遭うから嫌だと言う。

しまいには、「隊長は俺たちを敵がいるところへ連れて行くのか、そんな敵の回し者みたいな奴は生かしておけない」と言って銃を持ち出します。

「馬鹿、早まるな。やめろ」と言えばいいんですけど、こちらもついつり出されて銃を構えてしまう。

しまったと思って、「じゃ命があったらまた会おう」と言って回れ右して、僕は自分が行こうと思っていた道を行くのですが、背中を見せるわけだから、そこで撃たれたら死んでいました。

だから僕らの場合は議論をするにも命懸けでした。

いずれにしても、頭がしっかり働かなくなると正しい状況判断ができなくなる。

よく孤独感はなかったかと聞かれましたが、僕は孤独なんていうことはないと思っていました。

22歳で島に入りましたが、持っている知識がそもそもいろいろな人から授かったものです。すでに大きな恩恵があって生きているのだから、決して一人で生きているわけではないのです。

一人になったからといって昔を懐かしんでは、かえって気がめいるだけですから、一人の利点、それを考えればいいんです。

一人のほうがこういう利点があるんだと、それをフルに発揮するように考えていれば、昔を懐かしんでいる暇もなかったです。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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