ユニクロ、GUを経営するファーストリテイリングの柳井正氏といえば、その名を知らぬ人はいないほどのカリスマ経営者ですよね。その柳井さんは、どうやって企業を成長させたのか、それをノンフィクションとして綴った一冊があります。無料メルマガ『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』の著者である土井英司さんが、そんな興味深い一冊を紹介しています。
【起業家必読のノンフィクション】⇒『ユニクロ』
『ユニクロ』
杉本貴司・著 日本経済新聞出版
こんにちは、土井英司です。
本日ご紹介する一冊は、山口県のさびれた商店街の紳士服店から始まり、世界3位、年商3兆円が現実的になり始めたファーストリテイリングの成長物語。
前半には、創業者・柳井正氏を育てた父と、本を通じて影響を与えた偉大な経営者たちの思想、無気力な若者を奮起させた出来事が書かれており、これから起業を志す若者に刺さる内容となっています。
影響を与えた松下幸之助、レイ・クロック、ピーター・ドラッカー、ハロルド・ジェニーンの経営哲学は、特に勉強になるのではないでしょうか。
ストイックで実力主義、商売に関しては柔軟な姿勢を持っていた柳井氏のスタンスは、時として社内外で軋轢を生み、それゆえに問題も起こったようで、本書には、その辺のエピソードも書かれています。
広島銀行の支店長だった柳田氏との対立、後継社長だった玉塚氏の更迭などに関しては、丹念な取材がなされており、裏舞台を詳しく知ることができました。
また、苦い経験となった2号店の失敗や海外進出の失敗、野菜ビジネスの失敗など、ニュースで騒がれた失敗の実情も知ることができ、経営者にとっては、生きたレッスンとなること間違いなしです。
ビジネスとは関係ありませんが、夫人とのドラマチックな出会いや、おとなしかった柳井少年の昔のレアなエピソードも収録されています。
成功する人は、やっぱり生き方も面白いですね。
起業ノンフィクションとしての生々しさに加え、事実の間を埋める著者の力量が光る、良い作品です。
世界一を目指す無謀な挑戦に力を貸した、多くの立役者との心の通い合いが書かれており、これぞ起業ノンフィクションの醍醐味と思いました。
生きている限りは、本棚に入れて大事にしまっておこうと思います。