日本国民は売られた。岸田首相「訪米の成果」で得する人損する人…戦争、経済破綻、異常な未来はこの後すぐ

 

岸田総理「訪米の成果」で得をする人、損をする人

3番目は、経済の問題です。岸田総理はワシントンの後は、ノース・カロライナに足を伸ばしています。EV関係の日系工場を視察して「現地雇用に貢献」などと胸を張ったようです。また、一方で、岸田訪米と前後して日鉄によるUSスチール買収の問題が議論になっています。

こうお話しすると、いかにも岸田総理は日本経済の利益のために戦っているという印象を与えます。ですが、この点に関しては、もうここまで来たらもっと冷静になって良いのではと思います。

EVの基礎技術を日本はかなり持っています。バッテリーも、モーターも、重電のマネジメント技術も、60年代以降培ってきた基礎があります。ですが、EVに関しては、北米の場合は超保護貿易主義とセットになっていて、日本発の多国籍メーカーが割って入るには、とにかく部品段階、バッテリーの素材段階からアメリカ製でないとダメということになっています。

ということは、どんなに頑張っても日本のGDPへの貢献は限定的です。また日鉄のUSスチール買収にしても、沈みゆく日本と日本円ではなくグルーバル経済の投資して、協業のシナジー効果を追求するのが目的です。こちらも日本のGDP貢献は限られた話です。

とにかくグローバル経済の中で、もうそろそろ日本の政財界は気づいたほうが良いと思います。それは「日本発の多国籍企業の連結決算は、日本のGDPにはならない」という厳然たる事実です。円安の進行は、このトレンドをどんどん加速させます。

円安だから製造業が日本に回帰するというのは極めて限定的です。労働力が少なく、エネルギー供給が不安定で、しかも市場が急速に縮小する日本でモノを作り、それを無理に売って相手の保護主義と喧嘩するよりも、経団連加盟企業のほとんどは現地生産を選択します。そして各国の現地法人が稼いだ外貨を、日本円で連結決算すると円安のために海外の売り上げ利益が膨張します。

これによって、円建ての株価は上がり、大企業の円建ての賃金は上がります。ですが、そのトリクルダウンは、恐らくは円安によるインフレで帳消しになります。

つまり、円安経済の中で、更に空洞化を加速するというのは、多国籍企業とその関係者にはいいかもしれませんが、日本の国内経済と多くの国内労働者にとっては、プラマイゼロいやマイナスになるのが現状のトレンドだと思います。

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