日本国民は売られた。岸田首相「訪米の成果」で得する人損する人…戦争、経済破綻、異常な未来はこの後すぐ

 

岸田政権の対中抑止政策は「安倍政権よりも危うい」

例えば安倍晋三政権の場合は、一見すると危険な保守イデオロギーを暴走させているように見えたわけです。

ですが、実際は安倍晋三という人は保守イデオローグを抱え込んでいる一方で、官僚などが立案してくるリアリズムにはしっかり乗っていたのも事実です。例えば、決して評判の良くない第一次政権の際にも、小泉純一郎が停滞させていた日中の首脳外交を再開しています。また、オバマと協調して日韓合意をやった、上皇さまの退位を円滑に実施したなど、そのバランス感覚は評価しなくてはなりません。

これに対して、岸田政権の場合はそこに確たる支持層はないわけです。その一方で、自分自身は中道的な立ち位置が本籍だという自己認識があり、そのために、保守票への警戒というか、理解されないという一方的な距離意識を持っているわけです。そのために、本籍が中道なために保守政策の歯止めが効かないという危険性があります。

これは直近の問題ではありませんが、例えば台湾が国民党政権になって緊張が緩む一方で、米軍が東シナ海におけるプレゼンスを極端に減らすとします。その場合には、南西諸島の自主防衛強化になりますが、その際に悪しき歴史修正主義が自主防衛とセットで拡大するとなると、中国サイドの危険信号は真っ赤になってしまいます。

キッシンジャー=周恩来の約束で明確にされていた「日米安保が日本の軍国主義復活を抑制する」という前提があって、初めて「中国の敵は日本の軍国主義であり、日本人民ではない」という「周恩来ドクトリン」は成り立ちます。

反対に、中国にとっては悪しき保守イデオロギーと自主防衛が合体するというのは、そのドクトリンが成立しないということを意味します。その延長にあるのは、台湾への軍事侵攻に巻き込まれるのではなく、直接的に中国と日本の間に軍事的緊張が生じるという可能性になってきます。

そうした最悪の事態というのは、短期的には起こりえません。ですが、今回の岸田=バイデンの蜜月演出と、露骨なまでの中国敵視、そこにおける思考停止状態というのは、そのような中期的なリスクと比較しておく必要を感じるのです。

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