共済年金と厚生年金期間のある人が死亡した後、遺族年金はどうなるのか?

 

3.子供が18歳年度末を迎えていくと。

妻48歳、年金法の子は17歳、13歳、6歳なので、1番下の子が18歳になるのは12年後とすれば妻は60歳ですね。(一番上の子は20歳なので年金法でいう子にならないので除外)

まず2番目の子が18歳年度末を迎えると、子供は残り2人になるので遺族基礎年金は1,363,900円ー子の加算78,300円=1,285,600円になります。

さらに3番目の子が18歳年度末を迎えると、1,285,600円ー子の加算234,800円=1,050,800円になります。

そして、一番下の子が18歳年度末を迎えると遺族基礎年金と遺族年金生活者支援給付金自体が消滅するので、この時に遺族厚生年金593,246円のみとなります。

ただし、A男さん死亡時に妻は40歳以上65歳未満だったので、中高齢寡婦加算612,000円(令和6年度定額)が加算されて、子が全ていなくなった後は遺族厚生年金総額は593,246円+中高齢寡婦加算612,000円=1,205,246円(月額100,437円)

この中高齢寡婦加算は厚年加入中の死亡の場合等の時や、全体の年金記録が25年以上あって厚年期間が20年以上ある人が死亡した場合に妻が40歳以上の時に加算されます。

なお、夫死亡時に妻が40歳未満だったとしても、40歳時点で遺族基礎年金を受給していたのであれば、遺族基礎年金消滅以降に中高齢寡婦加算が付きます。

この加算は妻が65歳になるまでなので、65歳以降は妻自身の老齢の年金と遺族厚生年金となります。

もし妻が65歳時点で老齢基礎年金70万円+老齢厚生年金30万円あった場合は、遺族厚生年金593,246円から老齢厚生年金30万円が引かれて293,246円が遺族厚生年金として支給されます。

そうすると妻の65歳以降の年金総額は遺族厚生年金293,246円+老齢厚生年金30万円+老齢基礎年金70万円=1,293,246円(月額107,770円)

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※注意
職域加算は共済加入期間中の死亡ではないので付きません。
もし死亡したのが共済加入中であったなら、平成27年9月までの期間で計算していました(300ヶ月に足りなければ300ヶ月で最低保障)。
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このように、死亡したのが民間の厚生年金加入中の場合は過去の共済期間も含めて日本年金機構が遺族年金を全て支払います。共済加入中に死亡したら過去の民間の厚年期間も含めて、全て共済組合が遺族厚生年金を支払います。

ただし、遺族基礎年金は国民年金からの給付なのでこれは日本年金機構が支払います。(遺族年金請求は機構でも共済でも構わないですが、今回は年金事務所に行きますよね^^;)

次回は共済と厚年期間がある人で、全体で25年以上年金加入期間がある人が死亡した場合の年金事例。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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