なぜアメリカの若者層は60年代に“回帰”しているのか
ではどうして冷戦後に生まれた世代、いや、今の大学生に関して言えば「911テロすら知らない世代」に、60年代「回帰」が起きているのでしょうか?
その核には、反戦カルチャーというものがあります。
これは60年代のベトナム反戦のカルチャーが、21世紀初頭の「アフガン・イラク戦争」という「戦時」への反発から広汎に共有されていると考えられます。
その濃厚な記憶が、現在のガザ攻撃への反発につながっています。
つまり、「ガザ(2024)=アフガン・イラク(2001~2021)=ベトナム(1964~75)」という戦争の記憶の連鎖が結ばれることによって、遠い存在であったベトナム戦争の時代への関心が喚起されるわけです。
それがベトナム反戦というメッセージを核に持った60年代のカルチャーへの共感になっています。
ちなみに反戦ということでは、思想的には対極なはずのトランプ主義も、この点では似ています。
今回の件では、アメリカ保守の伝統を利用するために、イスラエルの作戦を支持しているトランプですが、その本質は超孤立主義です。
そのロジックの延長ではあるものの、「反戦」ということでは、トランプ並びにトランプ支持者も同じです。